東京商工リサーチ横浜支店は5日、2023年度上半期(4~9月)に倒産した神奈川県内企業(負債1千万円以上)は前年同期比30.5%増の261件だったと発表した。新型コロナウイルス禍は官民の資金繰り支援でバブル期並みに抑えられてきたが、半期ベースでみてもコロナ禍前の水準に戻った。
上半期に250件を超えたのは、284件だったコロナ禍前の19年度以来。販売不振や赤字累積が原因の不況型倒産が42.9%増の223件で、9割近くを占めた。
業種別でサービスと建設が70件台と目立った。増加率が最も高かったのが不動産で、3.3倍の10件。リモートワークが普及し、都心郊外の住宅需要が高まったコロナ禍の反動とみられる。情報部の森澤章次課長は「建設業に波及すれば景況感を冷え込ませかねない」と懸念する。
負債総額は6.3倍の1505億5100万円で、12年ぶりに1千億円を超えた。スマートフォン製造の関連2社(大和市)で1千億円超を占め、突出して増えた。一方で負債1億円未満が42.9%増の193件で4分の3を占め、小規模の倒産が全体を押し上げている。
コロナ禍の実質無利子・無担保「ゼロゼロ融資」の返済本格化に加え、物価高、人手不足、賃金上昇が重なり、企業の息切れ感が強まっている。森澤課長によると、金融機関へのリスケ(返済条件変更)相談も増えている。
9月単月は前年同月比10.5%増の42件。負債総額は10億円以上の大型倒産がなく、18.1%減の33億円だった。