【MLB】 ベリオスから菊池雄星への早めの継投策 裏目に出てしまい選手からは疑問も

写真:好投しながらも降板させられたブルージェイズ・ベリオス

昨日、日本時間5日、ブルージェイズはツインズとのワイルドカードシリーズ第2戦に敗れ、プレーオフ敗退が決定した。

0対2と僅差で終わった第2戦の負け投手となったのは、ホセ・ベリオス。3回を投げ、被安打は3に抑え、奪三振は5個。球数はわずか47球だった。

デービス・シュナイダー監督は、ベリオスが4回の先頭であるロイス・ルイスに四球を出したところで迷わず菊池雄星にスイッチ。結果的にそれが裏目に出て、菊池はピンチを拡大させ、ツインズは2点を先制。それが決勝点となった。

このベリオスの早すぎる降板はファンの疑問を呼んだだけにとどまらず、ブルージェイズの選手からも疑問を呈されている。『USA Today』のボブ・ナイチンゲールが取材している。

ウラジミール・ゲレーロ・ジュニアは「明らかにみんな驚いていた。みんなその決断に驚いていたけど、コントロールできないこともある」と決断に驚かされたことをコメント。

「率直に言って、嫌だった」と語るのはベテランのウィット・メリフィールド。「それが敗因ではないが、これは監督や野球から(主導権が)奪われてしまったような采配だった」と批判している。

メリフィールドが指し示しているのは、これが監督や現場の采配ではなく、現場よりデータを重視して意思決定するフロントの意向が絡んだ采配ではないかということだろう。

たしかに最近のメジャーリーグでは、対戦回数が増えるほど投手は分が悪くなるというデータから、先発投手が投げるイニングは減少の一途を辿っている。短期決戦のプレーオフではその傾向はさらに顕著になっている。2020年のワールドシリーズ第6戦でレイズが好投していたブレーク・スネルを交代させたのは、その象徴的なシーンだったと言えるだろう。

今回のケースでいえば、ブルージェイズは菊池を切り札と考えていたことが推測される。ツインズ打線は、エデュアルド・ジュリエン、マックス・ケプラーをはじめ左の強打者が多かった。

ツインズ打線は右投手に対してメジャー5位のOPS.762、同4位の179本塁打を記録していたが、左投手に対しては同19位のOPS.726、同8位の54本塁打と数字が落ちる。そしてベリオスも右打者に対して被OPS.614・被本塁打9本、左打者に対して被OPS.773・被本塁打16本と左打者に弱かった。左右のミスマッチは明らかだった。

ブルージェイズとしては先発投手のベリオスと菊池を組み合わせる、タンデム式の継投を意図していたのだろう。データから見ても、その考えは合理的だった。

シュナイダー監督への批判も多い一方で、メリフィールドの言うようにこの継投が直接的に負けに繋がったわけではない。最たる敗因は2試合でわずか1得点にとどまった打線にある。

ゲレーロやボー・ビシェットを中心とするチームになってから黄金期の到来も期待されていたが、実際には3回のプレーオフ進出で未だ0勝。停滞感が漂う、後味の悪い敗退劇となってしまった。

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