横浜の維新市議が性的少数者を差別 「同性愛で街滅ぶ」逸話を引用 法の趣旨外れる持論展開

本会議で質問する山田桂一郎氏=横浜市会議事堂

 開会中の横浜市会第3回定例会で、日本維新の会の山田桂一郎市議(60)がLGBTなど性的少数者への理解を進める学校教育に関する一般質問で、同性愛者の存在などで街が滅ぶとした逸話を引用した。山田氏は神奈川新聞社の取材に対し、「同性愛はおかしくないということは義務教育で言わなくてもいい」などと述べ、LGBT理解増進法の趣旨からも外れる持論を展開した。

 発言があったのは、9月12日の本会議。同氏は会派を代表し、同法について教育現場の取り組みやトイレ整備に関する市の方針を問い、「性的少数者の児童生徒の権利を過大に要求することで学校現場が混乱しないか」「自分は女性だと偽り、女性用トイレや更衣室、風呂に入るといった女性スペースの安全問題が依然として解消されていない」などという「懸念の声」を紹介。「横浜市が旧約聖書にあるソドムとゴモラのようにならないように」などと締めくくった。

 山中竹春市長は「法の施行により、従来の整備の方向性が変わるものではない」、鯉渕信也教育長は「児童生徒の状況に応じた個別対応を図っていく。相談に応じられる体制づくりを進める」と答弁した。

 「ソドムとゴモラ」は悪徳と退廃で神の怒りを買い、滅ぼされる都市として旧約聖書に登場する。その「罪」として解釈されていたのが同性愛だ。都市の名を引いた「ソドミー法」は同性間の性行為などを罰する法律として、かつて米国などに存在した。

 山田氏は取材に対し、逸話の意味について「道徳心がなく、街が滅亡したと聞いている」と説明。引用した意図は「特にない」とし、意図していない言葉を議場で使った理由については「ノーコメント」とした。

 学校現場で今後も個別対応するとした市の答弁には「安心した」とし、「『同性愛はおかしいことではない』ということは義務教育で言わなくてもいい」と主張。法施行により女性用トイレがなくなることを心配する声が駅頭活動などで複数寄せられていたと説明し、自らの発言に「差別意識は全くない」と断言した。

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