滑落や転倒…山岳遭難相次ぐ 「体の冷え」運動能力の低下に注意を【長野】

3連休の県内で山岳遭難が15件発生しました。滑落や転倒によるものがほとんどです。専門家は、「体の冷え」が要因ではないかと指摘しています。

7日の栂池自然園。色づいた葉と晴れわたった青空。山の上はまさに紅葉シーズン真っ只中です。
一方、足元を見てみると、うっすらと雪が積もっています。この日、東京都の女性(54)が散策中に足を滑らせて腰を打ち、県警ヘリに救助されました。

警察によりますと、8日までの2日間で、15件の山岳遭難が発生。北アルプスの大天井岳や戸隠山の難所として知られる「蟻の塔渡り」では、
滑落により男性2人が死亡。他にも、焼岳や御嶽山などでも遭難が発生し、9人が重軽傷とみられます。

■北アルプス遭対協 元救助隊長 降籏義道さん(75)
「ついこの間までとんでもなく暑かったのがサッと爽やかな天気になったから、この時期の紅葉を見たいなと出かけていく気持ちはわかる」

北アルプスの遭対協元救助隊長で、日本山岳ガイド協会・特別顧問の降籏義道さん(75)。8日までに発生した15件のうち、少なくとも10件が転倒・滑落によるものでした。なぜこれだけ多発しているのでしょうか。

■北アルプス遭対協 元救助隊長 降籏義道さん(75)
「紅葉できれいな時期なんですけど、その反面いつ雪が降ってもおかしくない。ちょっと体冷えてくると端的に運動能力が低下するので転落・滑落の危険は高まる」

標高が100m上がると気温は0.6~0.7℃下がると言われています。さらに、風速が1m上がると体感気温は1℃下がります。体温の低下は運動能力の低下。降籏さんは暑いと感じるくらいの服装で臨むことを勧めます。

■北アルプス遭対協 元救助隊長 降籏義道さん(75)
「実は装備がそこそこでも自分の体温が低下している。体が寒くなっていることを認識していない人が多い。寒さに対する備えをしておくこと。もし暑いようなら前のファスナーを開けたりして外の空気を入れて調整することが大事」

警察は天候や体調、技量を十分に見極めて登山するよう呼び掛けています。

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