関東大震災の貴重な資料、未来につなぐ 神奈川県博物館協会が研修会 職員や研究者ら約50人が参加

「民間などと協力し、多様な主体とともに歴史を伝えていくことが大切」と話す松本さん=相模原市立博物館

 100年前の関東大震災から災害時の資料保存の教訓を学ぼうと、神奈川県博物館協会が3日、相模原市立博物館で研修会を開いた。各館の職員や研究者ら約50人が参加し、貴重な資料を未来につないでいくための対策や課題を共有した。

 かつて横浜市史資料室で関東大震災の研究に携わっていた大正大の松本洋幸准教授は、震災時の文書資料の被害と保存、継承について同市の事例を紹介した。

 当時の市役所では、横浜発展の礎となった「吉田新田」に関わる資料などを集めて市史の編さん作業が行われていたが、地図など多くの資料が火災によって焼失したという。

 震災の状況を記録した文書には、避難する際、「水中に投入したものの一部は辛ふじて難を免れたのであった」などと混乱した様子が記されている。民間の資料も多くが焼失し、松本准教授は「その全容はつかめていない」と説明した。

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