文化財151件が所在不明 栃木県が最多42件

 都道府県が条例に基づき文化財に指定した美術工芸品1万1千件余りのうち、今年(2023年)1月1日時点で、31の都県で合わせて151件が盗難や紛失などで所在不明になっていることが、共同通信の調査で分かりました。このうち栃木県は、所在が分からない文化財の数が最も多くなっています。

 所在が分からなくなっている文化財は、今年1月1日時点では、全国で合わせて151件あり、このうち栃木県は43件で最も多くなっています。県文化振興課によりますと、今年4月に所在が分からなくなっていた工芸品が1件見つかったため、現在は42件となっています。

 栃木県では、最も多い東京都の829件に次ぐ613件を文化財に指定していて、2013年から国の文化財の所在調査にならって調査を行った結果、5年後に63件の文化財の行方が分からなくなっていることが分かりました。県は、市や町、それに美術館、博物館などに情報提供を呼びかけ、これまでに所在不明だった21の文化財が見つかっています。条例では、文化財の所有者や保管場所が変わると届け出が必要ですがそれを行わなかったり、相続した人が文化財であることを知らなかったりしてそのまま、どこに行ったか分からなくなるケースがあるということです。

 文化財は国が「地域の宝」として観光戦略の核の一つと位置づけていますが、所在確認の強化や防犯体制の充実などの課題が改めて浮き彫りになり、県の担当者は「引き続き制度を周知していく必要がある」としています。

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