NASA小惑星探査ミッション「Psyche」打ち上げ目標を10月13日夜に延期

アメリカ航空宇宙局(NASA)は10月11日付で、日本時間2023年10月12日夜に予定されていた小惑星探査ミッション「Psyche(サイキ)」の探査機打ち上げが1日延期されたことを発表しました。【2023年10月12日10時】

【▲ アメリカ航空宇宙局(NASA)の小惑星探査ミッション「Psyche(サイキ)」の探査機を搭載したスペースXの「ファルコンヘビー」ロケット。ケネディ宇宙センター39A射点にて2023年10月11日に撮影(Credit: NASA/Aubrey Gemignani)】

Psycheは火星と木星の間に広がる小惑星帯を公転する最大幅280kmの小惑星「16 Psyche(プシケ)」の周回探査を目的としており、低コスト・高効率な探査を目指すNASAの「ディスカバリー計画」14番目のミッションとして2017年に選定されました。打ち上げにはスペースXの「ファルコン・ヘビー」ロケットが用いられます。

プシケは鉄やニッケルといった金属を豊富に含む「M型小惑星」に分類されていて、その正体は初期の太陽系で形成された原始惑星のコア(核)ではないかと予想されてきました。過去に探査機が接近して観測した小惑星や彗星は主に岩石や氷でできていたため、Psycheは金属質の小惑星を間近で観測する初のミッションとなります。地球のコアを直接調べることはできませんが、原始惑星のコアだった可能性があるプシケの観測を通して、地球のような惑星の形成についての貴重な情報が得られると期待されています。

【▲ 小惑星ミッション「Psyche(サイキ)」探査機の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin)】

Psycheはもともと2022年8月1日~同年10月11日のウィンドウ内に探査機を打ち上げる予定で準備が進められていましたが、地上試験で用いられるソフトウェア試験用のテストベッド(試験用の環境やプラットフォームのこと)で問題が見つかったため、2022年6月の時点で同年中の打ち上げが見送られていました。

【▲ 小惑星プシケ(奥)を観測する小惑星探査機Psyche(サイキ、手前)の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

前述の通り、Psycheの直近の打ち上げ目標日時は日本時間2023年10月12日23時16分(米国東部夏時間同日10時16分)でしたが、悪天候が予想されることから1日延期されました。新たな打ち上げ目標日時は日本時間2023年10月13日23時19分(米国東部夏時間同日10時19分)です。NASAは解説付き(英語)のライブ中継を日本時間同日22時30分からYouTube公式チャンネル、SNS、NASA公式アプリなどで配信するということです。

▼Psycheミッション打ち上げライブ配信URL(YouTube)

※本稿では「Psyche」の日本語表記について、小惑星はラテン語の読み方である「プシケ」、NASAのミッションおよび探査機は英語での読み方である「サイキ」を用いています。

Source

  • NASA \- Psyche Mission (NASA Blogs)

文/sorae編集部

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