トッテナムのポステコグルー監督「オーストラリアのサッカーを変えるのを諦めた」

写真:好調トッテナムを率いるポステコグルー監督

イングランド代表は10月13日にオーストラリア代表との親善試合を行うが、オーストラリア出身で過去にオーストラリア代表を率い、現在はイングランドのトッテナムを率いるアンジェ・ポステコグルー監督が、オーストラリアのサッカー事情や代表監督時代を語った。イギリスのウェブメディア『フットボール・ロンドン』が伝えている。

ポステコグルー監督は2013年10月から2017年11月までオーストラリア代表監督を務めた。同国ではサッカーは最大のメジャースポーツではないが、ポステコグルー監督はその理由を次のように語っている。

「それを阻んでいるものはいくつかある。そのうちの一つはスポーツ界の状況であり、世代を超えて支配してきたかなり強力な慣例だ。オーストラリア特有のスポーツであるオージールールズ(オーストラリアンフットボール)はこの国独自のものであり、自分たちの慣例を守るための大きなプライドを持っている。ラグビーが支配的なんだ。フットボール(サッカー)がその隙間でインパクトを与えるのは非常に難しい。日本のように野球が強い国と比較してみれば分かる。彼らはサッカーにも多くの資源を投入し、それが好影響を与えている。オーストラリアが同じような道を歩むとは思えない」

ポステコグルー監督は現在、イングランドで成功を収めつつあるが、その実績がオーストラリアでのサッカー人気向上につながることもないと語る。

「私はその戦いを諦めたんだ。長い間、フラストレーションが溜まっていた。オーストラリアにおけるフットボールを変えたいというのが、私にとっての大きな原動力だった。しかし、自分が全くインパクトを与えられなかったと感じた。『まだできるかもしれない』と考えるより、諦めてしまったほうが対処しやすかった」

そしてポステコグルー監督自身、2014年のワールドカップでは本大会を率いたものの、2018年大会に向けては大陸間プレーオフを勝ち抜いて出場権を獲得した直後に代表監督の座を辞任した。その理由は次のように語っている。

「仕事をこなし、フットボールの試合に勝つことだけが目的ではない。私にとってオーストラリアでの最大の目的は、フットボールを変えることだった。しかし、それは実現しないと思った。それが正しい決断だったことも分かっている。あの時、決断せずにワールドカップが終わるまで待っていたら、私は間違いなく今、ここにいないだろう」

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