谷村新司さん死去、沿岸住民から惜しむ声 震災後、釜石でライブ

復興支援ライブで釜石市を訪ね、谷村新司さんらが書いたサイン

 音楽グループ「アリス」のリーダーで、「チャンピオン」や「昴(すばる)」など歌謡史に残る名曲を数多く手がけたシンガー・ソングライターの谷村新司(たにむら・しんじ)さんが8日、病院で死去した。74歳。大阪府出身。葬儀は近親者で行った。後日、お別れの会を開く。

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 東日本大震災後、岩手県被災地を訪れ勇気を与えてくれた谷村さん。訃報が伝わった16日、沿岸住民から別れを惜しむ声が上がった。

 谷村さん率いるフォークグループ「アリス」は2013年6月17日、釜石市の甲子町第6仮設団地で復興支援ライブを開き、往年のヒット曲を披露して被災者を元気づけた。

 当時、仮設団地の事務局を務めた同市野田町の佐々木健二さん(76)は「集まった400~500人の観衆は大喜びだった。つらいときに励まされた」と感謝する。

 アリスの3人は仮設談話室の壁にサインを残し、解体時には佐々木さんがその壁を剝がして守っている。「逝くには早すぎる。同じ時代を生きた者として、寂しい」とサインを見つめた。

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