治験支援会社が123件もの不法行為 厚労省「前例ないほど悪質」

 厚生労働省は17日、治験支援会社メディファーマ(東京)が、医療機関から受託した123件の治験において、データ改ざんなど医薬品医療機器法(薬機法)の違反行為を行っていたと発表した。現在調査を進めており、その後相応の処分を行う方針。

発注した医療機関側も不正に加担?

 厚労省によると、情報提供を受け、8月下旬から9月初旬にかけ3回にわたり同社に立入検査して発覚した。同社が行っていた不法行為は、被験者の血圧数値、対象となる薬の投与時間、採血時間などの改ざん。また不正を防ぐ観点から禁止されているにもかかわらず、治験データを医療機関と共有するためパスワードを通知していたこと。さらに治験対象薬について必要な温度管理を怠り、その報告を製薬会社にしておらず、それだけでなく本来であれば治験に関わる医療従事者が受講しなければならない講座に、同社の社員が身代わりで参加していた。

 同省ではこうした違反が、同社がこれまでに受託した治験のうち125件について認められたとしており、創業直後から不正を繰り返していたと見ている。125件のうちには、承認済みの薬と医療機器計25製品の治験が含まれているが、改ざんされたデータを除外しても、それぞれの有効性や安全性は確認できるとして承認の取り消しまでは行わない方針。とはいうものの、あまりにも多くの治験にわたって行われているため、治験自体の信頼性を揺るがしかねない深刻な事態となっており、同省の担当官は「前例のない非常に悪質な行為」と厳しく指弾している。また不正の幅広さから、医療機関側が不正に協力していた可能性も浮上しており、引き続き調査するという。

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