元日のタイ戦とアジアカップはU-22日本代表で参加すべき/六川亨の日本サッカー見聞録

[写真:Getty Images]

期待したぶん、がっかりしたファン・サポーターも多かったのではないだろうか。

JFA(日本サッカー協会)は10月18日、来年元日の1月1日、国立競技場で日本代表戦を開催すると発表した。対戦相手は「ウインターブレイクのある国」ということで、さすがにドイツとの連戦はないだろうが、オランダやベルギーだったらと期待してしまった。

しかし19日、JFAは対戦相手をタイ代表と発表。さすがにIMDではないため、ヨーロッパの強豪を呼ぶことは難しかったようだ。

かつて元日は天皇杯の決勝戦が行われることでカレンダーに定着していた。明治神宮へ参拝した和服姿の男女が訪れることが風物詩となっていた。しかし大会の拡充と、2014年は1月にオーストラリアでアジアカップが開催されることで決勝戦は12月に前倒しされたことから、決勝戦は元日に開催されるという規約は削除された。

そして来年は初めて元日に代表戦が組まれたわけだが、どれだけ強化に役立つのか疑問である。IMDではないため、海外組の招集には強制力がない。年末年始もリーグ戦のある三笘薫らプレミアリーグ勢と久保建英、古橋亨梧らは招集が不可能だ。このため国内組で日本代表を編成せざるを得ない。

ただし、カタールで開催されるアジアカップに国内組で参加するというのであれば、それはそれで歓迎したい。いっそ来年2月に開催されるパリ五輪アジア3次予選に出場するU-22日本代表で臨んでみてはどうだろうか。

アジアカップはアジアのナンバー1を決める大事な大会である。日本は過去に92年、00年、04年、11年と最多4度の優勝を誇る。しかしながらコンフェデ杯の出場権もなくなったいま、優勝することにどれだけの意味があるのか疑問である。

批判されるのは覚悟の上だが、ヨーロッパ各国のリーグ戦でレギュラーとして活躍している選手は、1ヶ月もクラブの試合から抜けるより、それぞれのリーグ戦で切磋琢磨した方が選手として貴重な経験を積めるのではないだろうか。

勝って当り前の相手から、例えばカナダ戦の中村敬斗や、古くはシドニー五輪予選のフィリピン戦で重傷を負った小野伸二のように、不用意な反則でケガをしてしまうことの方が怖い。

森保ジャパンの目標はアジアのチャンピオンになることではなく、26年の北中米W杯で優勝することだ。一方、U-22日本代表の目標は、まずはパリ五輪の出場権を獲得すること。その上で、東京五輪では果たせなかったメダル獲得が悲願のはず。ならば元日のタイ戦も、14日から始まるアジアカップも、U-22日本代表の強化に役立てるべきだろう。次代を担う選手の活躍をファン・サポーターも楽しみにしているはず。

森保ジャパンには11月のW杯予選をしっかりと勝ってもらい、アジアカップは若手選手の経験の場とする。現在の森保ジャパンの充実度を見ると、それくらい割り切ってもいいような気がしてならないのだ。


【文・六川亨】

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