文化の日に「天翔ける心、それが私 追悼・市川猿翁 歌舞伎名演集」を放送。市川團子が祖父・猿翁への思いを語る

NHK Eテレでは11月3日の「文化の日」にちなんで、選りすぐりの番組を集めた特別編成を実施。9月に亡くなった歌舞伎界の“革命児”市川猿翁さんを取り上げた特集番組や、親子で楽しめるN響コラボ番組など、古典芸能やクラシックをはじめ多彩な文化・芸術番組を放送する。

3日午後1:05からは、「天翔(あまが)ける心、それが私 追悼・市川猿翁 歌舞伎名演集」。今年9月、歌舞伎の名優・市川猿翁(三世猿之助)さんが長い闘病の末に逝去された。享年83。上演の途絶えた作品の復活、古典の新演出による刷新、そしてスーパー歌舞伎の創造に意欲的に取り組んだ仕事ぶりは、まさに歌舞伎の歴史を変え、一時代を築き上げた。猿翁さんの足跡と功績をたどるため、名舞台の数々とゆかりの深い人々へのインタビューを敢行。そして、猿翁さんが残した言葉から、時代を変えたその信念とは何かを振り返る。

劇作家・演出家・扉座主宰の横内謙介氏は、猿翁さんについて「我が師・三代目猿之助は伝統や国境など、さまざまなボーダーを鮮やかに超越したわが国を代表する演出家、クリエーターでありました。天翔る、奔放な想像力と、圧倒的情熱で困難な現実と切り結んでゆく創造力にあふれた天才でした。閉塞感漂う時代の中、創造することで、世界は変わる、人は生まれ変わる。そう体現し、私たちに夢見る力を授けてくれた芸術家でした」と称賛の言葉を寄せる。

また、猿翁さんの孫で、歌舞伎俳優・市川團子は「自分の舞台をビデオに撮って、じいじに見てもらう。じいじがOKサインを出したら『ああ、よかった』と。できないなりにも、じいじがいいよって言ってくれるくらいにはできたかなと思っていました。ただただ、目の前にあることを一生懸命死ぬまで頑張り続けるというのが、じいじの生き方だったような気がしていて、自分もそれをまねしたいなと。『学ぶはまねる』とよく言っていたので、毎日OKサインが出るように、一生懸命に努めていきます」と、猿翁さんとのやりとりを回顧しつつ、今後への思いを語っている。

関連番組として、NHK BSプレミアムでは、4日深夜0:00から「追悼 市川猿翁 スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』アンコール」も放送する。市川猿翁(三世猿之助)の功績を語る上で欠かせない傑出した舞台・スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」。哲学者・梅原猛の原作で、猿翁のスピード・スペクタクル・ストーリーに重きを置いた演出と演技が大きな話題となった。若き英雄・ヤマトタケルの壮大な物語を、現代語のセリフで、華麗な衣装と宙乗りなどを駆使してドラマチックに描いている。初演から9年後の1995年に収録した貴重な映像を、4時間ノーカットでおくる。

また、親子でクラシックを楽しめる番組として、NHK Eテレの人気キャラクターや出演者が一堂に会して自慢の歌を披露する特集番組「みんな集まれ!こどもうたまつり~NHK交響楽団コラボスペシャル~」(午前9:00)、NHK交響楽団の演奏でおなじみの歌をスペシャルアレンジしておくる「夏だ!祭りだ!!N響ほっとコンサート」(午前9:50)、高橋克典がベートーヴェンを愛する弁当屋さんを熱演した「ウェルカム!よきまるハウス」(午後3:10)を放送。

そのほか、「クラシック倶楽部 ウィーン少年合唱団 演奏会」(午後7:25)、NHK短歌スペシャル「22人のことばのバトン」(午後8:20)、芸能きわみ堂「野村萬斎、狂言の可能性は無限大だ!」(午後9:00)、「浦沢直樹の漫勉neo 手塚治虫スペシャル」(午後10:00)がラインアップされている。

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