バルサ理事会メンバー、人種差別受けたヴィニシウスを「ピエロ」呼ばわり シャビ監督も不快感「好きではない」

写真:バルセロナのシャビ監督も呆れた様子で…… ©Getty Images

バルセロナのシャビ監督が、レアル・マドリードに所属するブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールに対する人種差別に関するクラブ幹部のSNS投稿に不快感を示した。

現地時間10月21日に行われたラ・リーガ第10節のセビージャ戦で、ヴィニシウスは観客から人種差別行為を受けていた。セビージャは差別行為をした男を特定し、スタジアムから追放している。

ラ・リーガで幾度となく人種差別行為を受けてきたヴィニシウス。もちろん人種差別は容認できない行為だが、なかにはヴィニシウスの振る舞いが問題の火だねになっているという認識をしている者も存在するようだ。

バルセロナ理事会の広報担当代理を務めるミケル・カンプス氏は、24日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第3節のブラガvsレアル・マドリードが行われている最中、自身の公式X(旧ツイッター)上でヴィニシウスに対する否定的な意見を投稿した。

「これは人種差別などではない。(ヴィニシウスは)そのピエロぶりから、コジェハ(スペイン語で背中を叩く、小突くなどの意味)を受けて当然なのだ。ピッチ上での不要かつ無意味なステップオーバーに何の意味があるのか」

その後、カンプス氏はこの投稿を削除。しかし、事態は大事になりつつあり、28日に行われるバルセロナとの伝統の一戦“エル・クラシコ”ではレアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が抗議のため観戦しない可能性が高まっている。

クラブ理事会メンバーが起こした騒動については、現場も頭を痛めている模様。25日に行われたCLグループステージ第3節のシャフタール・ドネツク戦後、記者会見の場で今回の問題に関する意見を求められたシャビ監督は、次のように不快感をあらわにした。

「(記者に確認するように)彼はその投稿を削除したの? 審判へのプレッシャーや今回のような投稿も含め、緊張を生むような行為は好きではない。私たちはフェアプレー、リスペクト、そして互いへの称賛に満ちた“エル・クラシコ”にしなければ」

「過去にレアル・マドリードと対戦した試合でも、たしかに多くの緊張があった。ただ、それ(過度な緊張)を生み出すのは私たちではない」

すでに、ラファ・ユステ副会長が投稿内容を非難するなど、クラブ内からもカンプス氏を批判する動きが出始めている。バルセロナによる審判買収疑惑、いわゆる“ネグレイラ事件”などによってここ最近両クラブの仲はより険悪なものとなっていただけに、今回の騒動は“エル・クラシコ”の新たな火だねになるかもしれない。

シャビ監督や選手たちをはじめとする現場が望まない形で、“エル・クラシコ”がヒートアップする可能性も十分にある。

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