【MLB】 Dバックスがフィリーズ打線を抑えるために生み出した秘策 ワールドシリーズでレンジャーズ相手に通用するか?

写真:ワールドシリーズ初戦に登板したDバックス・ギャレン

ナリーグチャンピオンシップシリーズ第1・2戦を終えた時点で、ダイヤモンドバックスが最終的にこのシリーズを勝ち抜くと予想するのは難しかっただろう。しかし、Dバックスはそこから5戦で4勝と巻き返し、見事に逆転でワールドシリーズ進出を決めてみせた。

ワイルドカードシリーズでマーリンズを、地区シリーズでメジャー最高勝率のブレーブスを蹴散らし、破竹の勢いを誇っていたフィリーズをなぜDバックスは倒せたのか。その要因には、第3戦を境にしたDバックス投手陣の攻め方の変更があった。

第1・2戦では打率.313を誇っていたフィリーズ打線だったが、第3戦以降ではチーム打率はわずか.197に。この劇的ビフォーアフターの陰には、Dバックスが第3戦を前に行った投手陣ミーティングがあるという。『ジ・アスレチック』のフィリーズ番記者マット・ガルブが報じている。

ミーティングの中で挙がった課題が「インコースに十分に投げられていない」ということだった。ブレント・ストーム投手コーチによればインコースへの投球が足りていなかったことで「打者の足を動かせていなかった」。

MLB公式データサイト『ベースボール・サーヴァント』によれば、第1・2戦とそれ以降では全体のインコースへの投球割合は微増に留まる。

しかし、内角への意識付けを行ったことは大きな効果をもたらした。

第1・2戦とそれ以降では、フィリーズ打線のボール球スイング率は約15ポイント増え、36%にまで悪化。インコースへの投球を増やしたことによって、狙い通り打者の足を動かし、ボール球を追いかけさせることができるようになったのかもしれない。

実は、もともとフィリーズ打線の弱点は選球眼の悪さだった。ボール球スイング率はシーズン中からメジャーワースト4位。フィリーズが誇る試合の流れを変えられる大砲たち(ハーパー、カステヤノス、ターナー)のボール球スイング率は、実はメジャー平均を大きく下回る。

Dバックスはシリーズ序盤の乱調を見直し、冷静に相手打線の弱点を突くピッチングプランを実行することができた。それがシリーズ突破の鍵になったのかもしれない。

続くワールドシリーズでも、Dバックスが対するのは強力打線が看板のレンジャーズだ。果敢な内角への意識付けというヒントを得て勝ち上がってきたDバックスとしては、今回もそれに倣わない手はないだろう。

しかし、今回は状況が異なってくる。レンジャーズはシーズン中にメジャーベストのボール球スイング率を記録した、メジャーで最も選球眼が良い打線なのだ。

第1戦でも、ザック・ギャレンはなんとか5回をまとめたものの苦戦。これまで危なげなかったケビン・ギンケルとポール・シーウォルドの鉄壁リレーも、ピンチを招き、シーウォルドはセーブ失敗を喫してしまった。

最大7戦の短いシリーズの間に相手への適応に成功したDバックスだが、今回はどのような手を打ってくるだろうか。

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