綾野剛出演映画『花腐し』の荒井晴彦監督「大人に見てもらいたい作品」

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TOKAI RADIO『bre:eze』(ブリーズ 月~金15:00~17:00 DJイレーネ)10月24日(火)の放送に、11月10日公開の映画『花腐し(はなくたし)』の荒井晴彦監督と綾野剛がゲスト出演した。まず最初に、DJイレーネから「どんな映画か?」訊かれると、荒井監督は「偶然出会った男と男が、自分が付き合ってきた女の話をするんですが、それが同じ女だったという映画です」と簡潔に答え、綾野剛は「はい。ほんと、その通りです」と加えた。

原作は、芥川賞受賞の同名小説だが、試写を見たイレーネが「(原作とは)かなり違う映画に仕上がってますよね?」と尋ねると、綾野剛は「大胆なアレンジをされてますよね。原作の設定は、そもそも映画屋じゃないですもんね」と答えた。映画の中で、男たちが携わる仕事は、映画監督と脚本家志望の男。

イレーネが「この男たちが携わる映画をピンク映画にしたのはなぜか?」と訊くと、荒井監督は「僕が元々スタートしたのがピンク映画。僕が若い頃は、すでに映画が斜陽で、映画会社が新しい人間を採らなかった。映画をやりたくても採用がない中で、現場に行くのはピンク映画が一番の近道だった」

そして「ピンク映画は細々と続いていて、なぜか35mmで撮っていた。35mmで、予算350万円ぐらいで、2,3日で撮るというのが特徴だった。それがデジタルになって、ピンク映画自体がなくなりつつあった時期に焦点を合わせようかなと思って、ノスタルジーというか、なくなっていくものに対する映画をやろうかなと思った」とのこと。

続いてイレーネが、綾野剛に「ピンク映画を手掛ける監督の役作りについて」訊くと「この男は、しがみつく腕力も、もはや残されていないような状態で、だた、やっぱり、何か肌と肌との隙間を埋めるように、ピンクという世界の中の住人として、人とのかかわりだとか、コミュニケーションが絶たれて行き、そのうちに、女性の現実も待っていて、その中で、自分自身の存在証明みたいなもの、それを彼はどこで感じていくのか」

「脚本家志望の男と出会うことで、久々に声帯を使い、発声し、酒を飲み、タバコを吸い、体温が上がってくるような、そうしたときに、他者を介して、自分の存在を証明する瞬間が、合わせ鏡のようにあった。単純に言うと、ひとりじゃないということと、お互い幽霊のような存在で、この世界がすごくぼんやりした、輪郭を帯びていないもので、確かなのは、女が幽霊になってしまったことで、少しずつだが、息を吹き返していくという」

「どう転ぶかより、どう立ち上がるかだと思うが、簡単には立ち上がれない部分で、お互いの生存確認が、この男の中であったのかなあと、出来上がった映画を客観的に見て思ったし、知らなかった女の姿や当時の男のあり方を思うと、いとおしく感じて、どんな職業だったかというより、本質的なところに向かっていく作品だなと思っている」と答えた。

イレーネが荒井監督に「どんな人に見てほしい」が訊くと、荒井監督は「みる人を選んじゃうような映画なんでね。だから、子供じゃなくて、大人にみてもらいたいですね、特に大人の女性に。男も女も全部肯定するんじゃなくて、ところどころ思い当たるような経験は、みんな、してきていると思うので、そういうところをみてくれれば」と答えた。

また、綾野剛は「至って残酷ですよね、この作品は。その残酷さって、生きる上での財産だと思うので、腐っていくということは、まっとうに生きていることだと思っていて、腐っていくというのは、自分にとっては、美しいことだなと思って、最後まで生きようとしている刹那みたいなものがあって、いいなあ、と個人的には思っている」と話していた。

bre:eze

放送局:TOKAI RADIO

放送日時:毎週月曜~金曜 15時00分~17時00分

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