第6シードからワールドシリーズまで駆け上がった大躍進中のアリゾナ・ダイヤモンドバックス。今季途中にメッツからトレードで加入した外野手のトミー・ファムはそのシンデレラチームの中心人物の1人だ。そのファムが、古巣とDバックスとの違いについてコメントしている。『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者が取材した。
元はと言えば、開幕時の年俸総額およそ3億7600万ドルを誇ったメッツに1年契約で加入。メッツで優勝争いを演じることが期待されていたファムだったが、今年のメッツはまさかの低迷に苦しんだ。
夏場にはマックス・シャーザー、ジャスティン・バーランダーらのベテランを大量にトレードし、白旗を挙げる羽目になった。そこには、契約が1年限りだったファムも含まれていた。
ファムがトレードに出されたDバックスは若手主体のチームだ。2年前には100敗以上を喫し、昨年も88敗。莫大な資金を投じ、期待感も高かったメッツと比べれば、Dバックスはほとんどノーマークの存在だった。
ファムはDバックスと古巣のチームを比較し、「あのチーム(メッツ)はこのチーム(Dバックス)より才能があった。正直に言うと」と発言している。
たしかにファムの言う通り、メッツはその資金力によって既にその才能が証明されているビッグネームを多く揃えていた。未知数な若手が多いDバックスより、実力ある選手が揃っていたことはたしかなのだ。
では、なぜメッツは低迷に苦しみ、Dバックスはワールドシリーズまでたどり着けたのか。
「でもこのチーム(Dバックス)が違うのは、全員がまだこのレベルにいて、潜在能力を最大限に発揮しようとしていることだ。(メッツには)意欲がなかった。ここには意欲がある。それがこのチームが他のチームと違うところだ。まだ毎日良くなろうとしている選手がいる」ファムはこう語る。
Dバックスには、キャリアと実績に乏しい選手が多い一方で、その分ハングリー精神に満ちているということなのかもしれない。
ファムは前にもメッツの選手が準備を怠っていたという発言をしていたが、その発言を撤回することはしていない。そしてまだ「もしそのことで僕に反対する人がいるなら、鏡をじっくり見て正直になることだ」と、メッツについて言及している。