世界初の製法を開発した総合大豆メーカー不二製油のこだわり

今回は、大豆を加工してさまざまな素材を開発している不二製油の、開発に対するこだわりについてお話をお伺いしました。 

自己紹介をお願いします。

柳澤さん:不二製油株式会社 乳化発酵事業部門 乳化発酵開発部 第二課の柳澤 昌伸と申します。USS(Ultra Soy Separation)製法のプロセス開発やUSS製法からできる「豆乳クリーム」と「低脂肪豆乳」の応用開発、例えば、低脂肪豆乳を発酵させたチーズなどを行う部署に所属しています。

不二製油にはさまざまな大豆素材がありますが、人気のタイプはどれですか。

柳澤さん:植物性市場は近年着目されている市場であり様々な製品が上市されています。USS関連製品では、豆乳クリームや低脂肪豆乳が主に使われていますが、それらを原料に加工したチーズ、クリーム、バターも着実に広がっています。今後、より多くの植物性食品が様々な会社より開発されることで、植物性食品はより身近な存在になるのではないかと考えています。

製品開発のこだわりを教えてください。

柳澤さん:常に、「他社にはないものをいかに提供できるか」という点にこだわって開発しています。どのように大豆を使用して濃厚感をつけるかということを追求し、2010年に世界初のUSS (Ultra Soy Separation)製法を開発し、特許を取得しました。この製法により製造された豆乳クリームや低脂肪豆乳は、ヘルシーでありながらも従来の豆乳よりもより濃厚さや旨味が引き出された素材に仕上がっており、さまざまな食品に用いられています。

柳澤さん:USS製法は、世界初の製法のため当然なのですが、前例や参考になるものが一切ありませんでした。そのため、理論上は成立しているものの、実際に現場で製造を実現することが難しかったです。

USS製法で作られた豆乳クリームや、低脂肪豆乳はどんな食品に使用されることが多いのでしょうか。

柳澤さん:主に惣菜などの加工食品が多いですね。豆乳クリームは食品に濃厚感をつけることが特徴のため、牛乳や生乳を使用できない時や、素材の味を残しつつ濃厚感やコクを出したい時に、豆乳クリームが使われているようです。一方、低脂肪豆乳は遊離アミノ酸や糖質が多いので、食品に奥行きをつけたい(呈味感をつけたい)場面に使用されます。

柳澤さん:ちなみに豆乳クリームは、名前にクリームとついてはいるものの、ホイップすることはできません。そのため、弊社では洋菓子用に、豆乳クリームのホイップタイプも提供しています。

最近展開しているキャンペーンや取り組みがあれば教えてください。

柳澤さん:植物性素材でおいしいと健康を追求しサステナブルな食の未来を追求するを掲げ、植物、特に大豆を中心とした商品開発に力を入れています。開発にあたり、おいしさは重要なポイントです。豆乳の第一次ブームはまさにおいしくなくて終わってしまったということもあり、いかに“おいしくできるか”にこだわって開発しています。

豆乳クリームが使われている食品で好きなものはどれでしょうか。

柳澤さん:豆乳クリームを用いた担々麺がおすすめです。担々麺の辛みをまろやかにするとともに濃厚感がつくので、とてもおいしいです。豆乳クリームは、生クリームとは異なり植物性なので濃厚感を残しながら、後味がすっきり、さっぱりしていますので、素材の味が感じやすいのが特徴です。

これからも、従来では考えられないような豆乳製品や大豆製品、植物性製品が開発され、2030年にはお客様の選択肢の幅がますます広がっていくと思っています。


柳澤さんありがとうございました。

© 株式会社VAインターナショナル