東急バス、業界初の天然ゴム・タイヤ採用 持続可能な社会目指し、伊藤忠の取り組みに参画

天然ゴムをつなぐ、持続可能な天然ゴム生産をなどと書かれたラッピングバス=東京都世田谷区の東急バス・淡島営業所

 東南アジアの天然ゴム生産をめぐる環境と人権を守る-。伊藤忠商事(東京都)がインドネシアで、小規模農家の実態を把握し、適正取引を追跡可能にするプロジェクトを進めている。海外のタイヤメーカーに続き、この事業にバス業界として初めて東急バス(東京都)が参加した。参画する意義やプロジェクトの進捗(しんちょく)状況を、東急バスの井原要司・サステナブル推進部長(56)と、プロジェクトを率いる伊藤忠の北村明彦さん(40)に聞いた。

 伊藤忠の取り組みは「プロジェクトツリー」と名付けられ、2018年にスタート。まずシステム開発を行い21年に商用化した。システムはスマートフォンで農園の場所や集荷場所の位置情報を補足し、森林保護区以外の農園で採取したゴムであることや取引内容、日時などが確認できる。さらに納入量に応じてプレミアムを上乗せし、各農家に直接、現金を振り込む仕組み。

 「持続可能な社会の実現を掲げているが、バスに欠かせないタイヤ、中でも天然ゴムという資源の有効活用はおぼろげにしか考えられなかった」と井原部長。アプローチが分からない中、伊藤忠から話が持ち込まれ、TOYO TIRE(兵庫県)の協力も得られることになって参画を決めたという。

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