最低は3万円 最高は10万円 沖縄の11市で格差なぜ? 1世帯2人の住宅が全焼・全壊した場合の災害見舞金

[リポート’23 宜野湾発]

 台風や大雨、火災などで被害を受けた場合の「災害見舞金」の額が、同じ被害程度にもかかわらず沖縄県内11市でばらばらであることが本紙の調べで分かった。支給要件の「入り口」や申請期限にも大きな差がある。特に宜野湾は、住宅被害に対する支給額が最低レベル。災害でけがをしても11市で唯一、見舞金が支給されない。来年度には条例を見直し、市民の生活再建をより手厚く支える考えだという。(中部報道部・平島夏実)

 災害見舞金は市町村がそれぞれ給付制度を設けている。被災者の保護・救済が目的で、罹災(りさい)証明書を基に申請する。

 対象になるのは、災害による「住宅被害」と「(30日以上の治療が必要な)けが」で、死亡した場合の弔慰金もある。「国が災害救助法を適用した災害は『災害見舞金の対象外』」と規定しているのは、宜野湾を含む県内8市。一方、那覇、沖縄、名護は災害救助法とリンクさせず、被害が該当すれば幅広く支給している。「入り口論」で差があり、市民にとっては分かりにくい。

■台風6号で表面化

 この問題は、本島側にUターンした今夏の台風6号でも表面化した。6号には災害救助法が適用され、住宅の応急修理費が国と県から出ることになった。だが、うるまには「市の災害見舞金は今回どうしてもらえないのか」と市民から多くの問い合わせがあったという。そのため、6号を災害見舞金の給付対象に含める特別措置を取った。その上で12月市議会で制度改正を目指し、今後は災害救助法による縛りをなくす方針だという。糸満も見直しを検討している。

 給付区分も自治体によって異なる。世帯人数によって分けているケースでは、宜野湾と沖縄は「2人以下世帯」と「3人以上世帯」の2段階で、那覇など4市は「1人世帯」と「2人以上世帯」の2段階になっている。一方、石垣と南城は3段階で、名護は「6人以上は1人増えるごとに加算」を含めて4段階。浦添とうるまは世帯人数を問わず一律で運用している。

■議会で地域差指摘

 1世帯2人で額を比べると、住宅が全焼・全壊の場合は宜野湾と名護が県内11市内で最低の3万円、石垣は最高の10万円となっている。半焼・半壊の場合は宜野湾が最低の1万5千円で、最高は沖縄などの5万円。床上浸水とけがの場合も11市の中で3倍以上の開きがある。

 申請期限もいろいろで、宜野湾など3市は「被害を受けてから原則30日以内」。一方、6市は期限を定めていない。

 宜野湾市議会の9月定例会では上地安之氏が災害見舞金を取り上げ「地域格差があってはならない」と指摘した。

 同市福祉総務課は「けがが支給対象になっていないなど問題がある」との認識で、現在、他の自治体の状況を調査中。来年度には条例案を改正したいと話している。

台風6号で外壁が壊れた建物。県内各地で被害が出た=8月2日、那覇市内
県内11市の災害見舞金の額

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