坂本弁護士一家殺害34年 命日前に鎌倉で法要、事件伝え続ける決意新たに

坂本弁護士一家の墓に手を合わせる同僚だった弁護士ら=鎌倉市山ノ内

 オウム真理教幹部らに坂本堤弁護士=当時(33)=一家3人が殺害された事件から4日で34年となるのを前に、一家の墓がある円覚寺松嶺院(鎌倉市山ノ内)で3日、法要が営まれた。同僚だった弁護士や友人ら約40人が参列。墓前で冥福を祈り、事件を伝え続ける決意を新たにした。

 オウム真理教の信者の脱会を支援していた坂本弁護士と、妻都子さん=同(29)、長男龍彦ちゃん=同(1)=は1989年11月4日未明、横浜市磯子区の自宅で殺害された。遺体は95年9月、新潟、富山、長野県でそれぞれ見つかった。

 元同僚の武井共夫弁護士(69)はかつて、坂本弁護士らとともに霊感商法問題に取り組んだ県内の弁護団で活動。駆け出しの坂本弁護士は、統一教会(当時、現在の世界平和統一家庭連合)の元信者の相談を受け、献金の返金交渉なども担当した。「統一教会にもオウム真理教にも粘り強く対峙(たいじ)していた姿が浮かぶ」。政府が旧統一教会に解散命令を請求した中、「なぜ事件が起きたか考え、正体を隠した勧誘などの手口に注意を広げることが大切」と改めて感じている。

 事務所の先輩で親友だった小島周一弁護士(67)は墓前で、今夏に日弁連の現職会長が、坂本弁護士の救出活動に取り組んだ弁護士らによる一家の慰霊碑訪問に初めて公式に同行したと報告。「坂本のことを忘れず語り継ごうとしている」と伝えた。

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