【MLB】マーリンズの野球部門トップにベンディックスが就任 現レイズのGM

写真:フルシーズンでは20年ぶりのプレーオフ進出を果たしたマーリンズ

マーリンズは新たな野球部門最高責任者としてレイズでGMを務めているピーター・ベンディックスを迎えることを発表した。マーリンズは今シーズン終了後、キム・アングGMが意見のすれ違いを理由に辞任。新たな野球部門のトップを探していた。

スポーツ専門メディアの「The Athletic」によれば、ベンディックスは2009年にインターンとしてレイズに入団後、現在に至るまでレイズ一筋で勤め、2021年から現職についている。

MLBで最も予算が小さい球団の一つながらも長年にわたってリーグ上位の戦力を維持しているレイズ上層部は、以前から他球団によるヘッドハンティングを受けることが多い。2014年のアンドリュー・フリードマン(ドジャース)を皮切りに、ジェームズ・クリック(アストロズ)、マット・アーノルド(ブリュワーズ)など複数の球団で、レイズOBがMLB強豪のトップを務めている。そしてベンディックスも今回そのメンバーに加わることになった。

マーリンズとレイズはよく似た性質を持つ球団だ。ともにフロリダ州に本拠地を構える比較的新しい球団であり、観客数が少なく低予算で戦わざるをえない点も共通している。ただ、近年の戦績を見る限り、両球団にはかなり大きな差がついてしまった。

レイズは2000年代半ばから若く、優秀な人材をフロントに集め、一貫してチーム強化を進めることができたのに対し、マーリンズがオーナーの交代などの影響でなかなかチーム体制を確立できなかったためだ。

その点を考えれば、今回のアング辞任からベンディックス就任への流れもマーリンズのチーム体制が引き起こしたものと言える。「The Athletic」のアンディ・マカロー記者は、前任のアング辞任の影響が、彼女に与えられた権限への不満によるものだったことを指摘。今回のベンディックスにどの程度の権限が与えられるかは非常に興味深い点だとしている。

これらの点を鑑みるに、単にレイズから首脳を招いたからといって、マーリンズが同様の上昇曲線を辿れるかは疑問符がつく。

これまでの報道を見るに、マーリンズのオーナーであるブルース・シャーマンの振る舞いは、アングの突然の辞任に大きく影響しているようだ。短縮シーズンを除けば2003年以来のプレーオフ進出を果たしたマーリンズだが、ここでチーム再建を失敗すれば再び長期の低迷を招いてしまうかもしれない。オーナーとフロントの関係をうまく保ち、チーム強化を進められるかに注目だ。

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