シンボル かっぱ像、奇跡の鎮座

被災の上通の老舗書店

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営業再開を目指す「金龍堂まるぶん店」の従業員たちと名物のかっぱ像。小型の2体を含め無傷だった=熊本市中央区

 熊本市の上通アーケードで「かっぱの本屋さん」として親しまれている老舗書店「金龍堂まるぶん店」が、熊本地震で被災し、長期休業している。再開は早くても8月下旬になりそうだが、名物のかっぱ像は健在で、復旧作業に取り組む従業員たちを元気づけている。

 4月16日の本震で、同店は大きな被害を受けた。店中の本が棚から落下し、床に散乱。天井の一部がはがれ、壁にはひびが入った。さらに屋上の貯水タンクが倒れ、店内は水浸しになった。

 荒川俊介店長(43)は、停電した店内で途方に暮れたが、大小3体のかっぱ像を見て、胸が熱くなった。「さすがにだめだろうと諦めていたが、微動だにしていなかった。真っ暗だった気持ちが明るくなった」

 かっぱ像は1970年に設置された。ブロンズ製だが、手で動かせる重さで、台座に固定しているわけでもない。激しい揺れに見舞われても、傷一つなく鎮座する姿に、従業員たちは歓喜に包まれたという。

 ただ、店舗の復旧作業は容易には進まなかった。電気設備の故障で停電が長引き、1カ月後にようやく店内の片付けに入った。建物の補修も必要で、営業再開まで3カ月はかかる見通し。そんな状況で従業員たちの励みになっているのが、再開を待ち望む客の声だ。

 「早くカッパに再会できますように」「再開待ってるよ」。休業を知らせるシャッターの張り紙には、手書きのメッセージが続々と寄せられている。荒川店長は「うれしくて涙が出る。何が何でも再開し、お客さんに喜んでもらいたい」と復旧作業に熱を入れる。

 シャッターのすぐ内側では、かっぱたちが再開の日を待ちわびている。(小林義人)

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