賃上げ原資の確保御旗に企業が稼ぐ支援策に集中

 岸田文雄総理は6日開いた経済財政諮問会議で、総額17兆円規模の総合経済対策について「賃上げ原資となる企業の稼ぐ力を強化する供給力強化を最も重要な柱とした」と語り、賃上げ原資の確保を御旗に企業が稼ぐ支援策に政策集中の姿勢を浮き彫りにした。

 岸田総理は「構造的な賃上げ、活発な設備投資で経済が好循環する新しいステージへと移行させていくため、今後3年程度、人への投資拡大を図るとともに、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)などの攻めの投資、新技術、新市場などのフロンティアの開拓、デジタル技術の社会実装など、供給力強化に向け思い切った施策を集中的に講ずることが必要」と強調。

 また「デフレに後戻りしないための一時的措置として、国民の可処分所得を下支えすることも重要。来年の春闘に向けて経済界に対し先頭に立って賃上げを働きかける。その上で、給付金支給を先行させ、所得税・住民税の定額減税(1人あたり4万円)を実施する」と語った。

 所得税の定額減税は来年6月のボーナス時期と総理は先の会見で表明。これに野党からは「定額減税でなく全員に4万円を給付すれば年内に支給が可能だ」と支援のスピードのなさ、対応の遅さを指摘する声があがっている。

 なお政府は今回の総合経済対策による経済押上げ効果は実質GDP換算で19兆円程度、年成長率換算で1.2%程度と見込む。(編集担当:森高龍二)

政府は今回の総合経済対策による経済押上げ効果は実質GDP換算で19兆円程度、年成長率換算で1.2%程度と見込む

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