市「周知に最低1年は必要」 県「延期すれば水を供給できなくなる」 沖縄県の水道料金、来年10月の値上げ方針を巡り

 沖縄県企業局が供給する水道料金を2024年10月に1立方メートル当たり23円引き上げる方針を受け、7日の説明会=写真=に参加した市町村からは、料金改定の必要性に一定の理解が示された一方、さらなる時期の延期や改定幅の圧縮を求める声が相次いだ。

 浦添市などは、改定に向けて市町村の条例改正や住民への周知には最低でも1年の準備期間が必要とし、25年4月からの適用を要求した。

 ただ、現在の単価を維持すると、24年度にも企業局の内部留保資金が枯渇し、事業運営が困難になると見込まれている。これ以上の延期は「事業運営ができず、そもそも水を供給できない事態に陥る」(石新実企業技監)とし、理解を求めた。

 企業局は小規模離島8村の料金低減に向けて水道広域化を進めていて、配水にかかる「総括原価」には、この事業費も含まれる。総括原価が膨らめば、市町村が企業局に支払う「供給単価」も増すことになる。那覇市は「離島へ給水する費用負担を本島の住民に強いる」と指摘。広域化の経費は沖縄振興予算や県の一般財源などで賄うよう要望した。

 一方、企業局は有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)対策費も総括原価に含まれるとし、引き続き政府や米軍へ費用負担を求めていくとの見解を示した。(政経部・東江郁香)

県企業局から水道料金の改定について説明を受ける市町村の担当者ら=7日、うるま市・石川浄水管理事務所

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