高知県知事選挙がきょう告示!投票率と選管データの改善点ポイントを徹底解説(データアナリスト 渡邊秀成)

高知県知事選挙がきょう11月9日に告示され、11月26日に執行されます。これまでの高知県知事選挙の選挙結果について振り返り、高知県選挙管理委員会が公開する選挙結果データが、総務省が推奨するデータ形式で公開されているのかについて観察をします。

投票率は女性の方が高いものの、近年は半数割れに

過去の選挙データから高知県民の投票傾向(投票率、得票率が高い政党)について見てみましょう。

まずは投票率から見ていきます(平成23年、平成27年は無投票です)。高知県知事選挙の投票率は最高が77.64%、最低が45.92%。直近の選挙では47.67%となっています。知事選挙でも投票率が50%を切っています。県民の意思が県政へ反映されているのか疑問に感じるところです。

高知県知事選挙の投票率推移

この投票率を男女別で比較したものが下図になります。

男女別の投票率

男性より女性のほうが投票率が高い傾向にあるようです。一般に有権者数は男性より女性のほうが多い傾向にあります。女性のほうが有権者数が多く、投票率も男性より高いとなると、女性の投票傾向が選挙結果への影響が大きくなりそうです。

次に高知県ではどのような政党の得票率が高いのかについてみていきます。衆議院(比例)の国政選挙結果を利用し、高知県ではどのような政党が得票率が高いのかをグラフにしたものが下記になります。

高知県の政党別得票率

グラフから見て自由民主党、民主党系の得票率が高いことがわかります。得票率が多い順に政党を並べると自由民主党、公明党の順になる地域が多い傾向にありますが、高知県では自由民主党の次に民主党系が続きます。過去における高知県有権者の投票行動はこのようになされてきました。

そして前回の知事選において当選した候補者の得票数は17万3758票、得票率は60.93%でした。当選者の得票率は60.93%ですが、これを投票者ではなく有権者全体からみた割合で考えてみます。確定当日有権者数は60万4825人でしたので、有権者全体に占める当選者の得票率である絶対得票率は28.72%となります。

各種選挙の投票率が低下傾向にあるので、多くの選挙において当選者の絶対得票率も下がる傾向にあります。

どの程度の絶対得票率があれば民意が反映されていると言えるかは難しいのですが、住民、国民の将来を左右する内容を決定する投票の場合には、一定の投票率以上なければ、投票結果を無効にする等の措置が必要になるのではないかと思われます。

高知県選管のデータ公開方法の良い点と改善点とは?

ここまでのグラフ等を作成するにあたり、高知県選挙管理委員会がWEBサイト上で公開するデータを利用しました。

高知県選挙管理委員会は「選挙結果の記録」を公開してあるので選挙結果を調べやすいのです。「選挙結果の記録」を公開していない都道府県選管も多い中、この記録が公開されていることは県民等にとり、過去の記録を知ることができるのでとても良いことだと思います。できれば過去全ての選挙の記録を公開してあると、より県民等に役立ちます。

ただ高知県選挙管理委員会が公開する選挙結果データは多くのものがPDF形式で公開されています。

これらのデータはPDF形式ではなく、Excel、CSV形式の機械的処理しやすい形式で公開してほしいと思います。データ作成形式については総務省が公開している「統計表における機械判読可能なデータ 作成に関する表記方法」を参照にして使い勝手の良いデータを公開していただければ幸いです。

そして高知県選挙管理委員会では選挙運動収支報告書がウェブサイト上に見当たりません(ひょっとしたら別のサイトにあるのかもしれませんが見つかりませんでした)。こちらのデータもウェブサイト上で県民市民の誰もが閲覧できるようにしていただきたいと思います。

選挙運動収支報告書、政治資金収支報告書等、政治に関わる情報は公開期間を無制限にし、国、地域がどのような歴史を辿ってきたのか、将来の有権者が素早く検証できるようにする必要があります。統計、公的情報を正確に記録し、保存し、誰もが検証可能な状態に置くことは、国、地方が存続するため最低限必要なことです。

そのためにはPDF形式ではなく機械的処理可能な形式で誰もが閲覧できる状態で公開することが、将来の有権者に対する選挙管理委員会の責務だと思います。

今回は月末に高知県知事選挙が迫る、高知県有権者の投票行動と選管データについて観察をしてみました。

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