食肉大手の「日本ハム」「伊藤ハム米久」そろって上方修正するも着地点に差が

日本ハムのシャウエッセンと伊藤ハム米久のアルトバイエルン

食肉首位の日本ハム<2282>は、2024年3月期の業績予想を上方修正した。食肉2位の伊藤ハム米久ホールディングス<2296>も、2024年3月期第2四半期の業績予想を上方修正した(通期の業績予想は据え置き)。

いずれも食肉や加工食品の販売が伸びたことによるもので、利益はいずれも当初予想よりも2ケタの増加率となった。

ただ、通期の着地点は、日本ハムの68.3%の当期増益に対し、伊藤ハム米久は11.6%の当期減益の見通しで、収益力に差が生じる。

両社は2023年3月期に原材料価格やエネルギー価格などの高騰が影響して2ケタの当期減益を余儀なくされており、業績回復の途上にある。

伊藤ハム米久は「下期の調達や販売環境などの動向が不透明」として通期の予想を据え置いているが、上期の増収基調が続けば、下期の上方修正もあり得る。業界1位と、2位の収益力の差は縮まるだろうか。

当期利益が増益に反転

日本ハムは2023年10月31日に、2024年3月期の売上高を従来予想よりも3.2%多い1兆3000億円に、当期利益を同21.7%多い280億円に引き上げた。

食肉販売数量が伸びたのに加え、値上げが浸透したほか、加工事業でも値上げの効果が表れたことから上方修正した。予想通りの着地となれば、当期利益は増益に転じ、売上高は2期連続の増収となる。

2024/3は予想

3期連続の当期減益

一方、伊藤ハム米久は2023年10月20日に、2024年3月期第2四半期の業績予想を上方修正し、売上高を当初予想より2.2%、当期利益を15.4%引き上げた。実際の同第2四半期決算ではさらに上振れし、売上高は当初予想よりも4.4%多く、当期利益は16.7%多くなった。

ただ、通期では売上高9300億円(前年度比0.8%増)、当期利益150億円(同11.6%減)と当初の予想を据え置いた。このままの着地であれば、3期連続の当期減益となる。他方、売上高は3期連続の増収見込みだ。

2023/3は予想

消費者離れと外食産業の復調

食肉業界は食肉相場の高騰に伴う販売価格の上昇により、売上高は増加傾向にあるものの、 原材料やエネルギーなどの価格が上昇しており、採算性が悪化する状況にある。

このため両社ともに商品の値上げに踏み切っており、値上げに伴う販売数量の減少という状況にも直面している。

一方で新型コロナウイルスに関する行動規制や飲食店の時短営業などが廃止され、外食産業に回復の兆しが表れており、食肉需要は今後ますます高まることが予想される。両社の2024年3月期は、どのあたりに着地するのだろうか。

文:M&A Online

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