東京Vの城福浩監督、逆転昇格懸かる大宮戦へ「勝たないと奇跡も何も起こらない」、「勝利への執念を強く見せられるか」

逆転昇格懸かるJ2最終節へ意気込む城福浩監督[写真:©超ワールドサッカー]

東京ヴェルディの城福浩監督が、12日にNACK5スタジアム大宮で開催される明治安田生命J2リーグ第42節の大宮アルディージャ戦へ意気込みを語った。

前節、栃木SCを相手に数的不利を撥ね返す会心の1-0の勝利を収め、ホーム最終戦を白星で飾るとともに自動昇格に望みをつないだ4位の東京V(勝ち点72、得失点差24)。

運命の最終節ではJ3自動降格圏内が確定した21位の大宮(勝ち点39)相手の勝利に加え、自動昇格圏に位置する2位の清水エスパルス(勝ち点73、得失点差44)、3位のジュビロ磐田(勝ち点72、得失点差29)が引き分け以下に終わることが16年ぶりのJ1昇格への条件となっている。

10日、クラブハウスで公式会見を行った城福監督は、その重要なJ2最終節に向けた思いを語っている。

シーズン最終盤ではジェフユナイテッド千葉相手に試合最終盤に2点差を引っくり返す3-2の逆転勝利、前節は前半終盤に退場者を出したなかでの勝利と、劇的な勝利の連続で16年ぶりの悲願達成への機運高まるJリーグ屈指の名門。

ヴァンフォーレ甲府時代にJ1昇格に導いた経験を持つ百戦錬磨の指揮官は、「あと勝ち点2あればと思う試合も…」と過去の試合への後悔を口にしながらも、開幕前の下馬評を覆すチームの戦いぶりを評価している。

「(シーズン最終盤の劇的勝利について)ミラクルという単語がいいかは分かりませんが、そもそも我々がシーズン前に見られていたかを考えた時、我々が現状のステージで戦うことを内外という言い方がいいか分かりませんが、どんなふうに我々が見られていたかを理解しています。したがって、1試合のミラクルというよりも、この状況で今やれていることは我々がやるべきことをやって自分たちを信じて積み上げてきたからこそだと考えています」

「1試合単位で見ても、1点取られても2点目は取られない。2点目を取られても3点目を取られないなど自分たちの守備を崩さないなかで目指すべきサッカーをやること。愚直にやり続けてきたことが1試合単位で見ても、そのように見える試合もあったと思いますし、シーズンを通して見ても周りが想像する以上の勝ち点を取ったと思います。驚くというよりも自分たちを信じることの大事さを直近の試合でも感じました」

「ホーム最終戦のセレモニーの挨拶でも少し触れましたが、チームは総じて若いメンバーが揃っていてそのなかで僕らは練習場のグラウンドがすべてだと言ってやってきています。相当ハードなトレーニングをプレシーズンからやってきて、それゆえにケガ人も多く、今年で言えば同じタイミングで同じポジションのケガ人がすごく多く、そういう偶然も重なってやりくりという単語が相応しいかはわかりませんが、いろんな選手がいろんなポジションにチャレンジしたり、新しく入ってきた若い選手が交代で出て行って勝負を担う経験をしてきたなかで勝ち点を積み上げてきた。そこは彼らの頑張りの成果だと捉えています」

「もちろんあと勝ち点2あればと思う試合もいくつかありましたが、それでもずっと上位に食らいついて行けた、1年間ずっと上位にいたのは町田さんとある意味では我々だけだったと思います。大きく崩れることなく食らいついてこられたというのは、若いチームだからこそベテランの力も必要だったし、個々の成長も必要だったなかで、食らいついてこれたという表現が一番近いかもしれないです」

また、重要な大宮戦に向けては、シーズンを通して言い続けてきた「普段通りの戦い」を強調しつつ、ホーム最終戦で意地を見せたい対戦相手を「勝利への執念」で上回りたい考えだ。

「(最終戦に向けた意識づけは?)いつも通りです。我々の振り返りも謙虚にやりましたし、攻撃的なサッカーを志向しながらも最少失点でやれている理由は何なのか、そこをやり切ったのか、そこからしっかりと意識を統一しました。自分たちが勝ち点3を取るために頭の中で変えられる準備はいつも通りにしました」

「相手の出方やメンバーを考えてもしょうがない。ただ、逆の立場になってみれば、間違いなく勝利への執念を見せてくると考えています。チームがあのような状況になったからこそ、どういう姿をホームで見せたいという思いがあることは、僕らも想像できます。我々も勝たないと奇跡も何も起こらないので、勝利への執念をどちらがより強く見せられるかというような試合になると思います」

今季はホームで5カ月勝利なしという異例の状況ながら、ここまで上位争いに踏みとどまれた理由が、12勝5分け3敗という圧倒的な戦績を残したアウェイゲームの強さ。

城福監督は改めて一時期のホームでの不甲斐ない戦績を反省しながらも、自動昇格の可能性を残した状況で臨む最終節へ忠誠心厚いファン・サポーターの想いを背負い、戦っていきたいと語った。

「本当にサポーターにはホームでなかなか勝てない時にかなり悔しい思いをさせてしまった。5カ月勝てなかったので…。自分たちとしてはそこまで勝てていないのかという感覚でした。なぜならアウェイで勝っていたので、いろんな工夫をしながらアウェイで勝ててホームでこれだけ勝てないのはなぜなのかと思っていました。僕らもそうですが、サポーターもそれを感じていたと思います」

「なので最後の方は勝利を届けることができたのは良かったですが、彼らは悔しい思いをしてきてそれでもチームを支えてくれたので、最後に自動昇格の可能性がある状況で最終節を迎えられるという部分で彼らのためにも彼らの想いをしっかりと背負って戦えると思います。特に、NACK5スタジアムはサッカー専用スタジアムという部分でサポーターの熱もだいぶ伝わってくるので、一緒に戦える感覚が強いですし心強いです」

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