井伊直政役・板垣李光人が明かす「どうする家康」の“殿”松本潤の姿。「撮影時に“ステージングにもこだわっていた」

NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「どうする家康」(日曜午後8:00ほか)。物語がクライマックスへと向かう中、板垣李光人が、演じてきた井伊直政や印象深いシーン、近くで見てきて感銘を受けた主演・松本潤の芝居について語った。

松本が主人公・徳川家康を演じる「どうする家康」は、誰もが知る歴史上の有名人である家康の生涯を、新たな視点で描いた波瀾(はらん)万丈のエンターテインメント時代劇。脚本は、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「相棒」シリーズ(テレビ朝日系)、「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズ(ともにフジテレビ系)などで知られる古沢良太氏が担当している。

板垣が演じる直政は、女城主・直虎によって育てられた井伊家の御曹司で、徳川家臣団の戦力として活躍してきた。頭の回転が速く、女性にもてる美少年だが、プライドが高く、不遜な物言いで時にトラブルを引き起こすこともあるキャラクターだ。

直政の歩みについて、板垣は「ほとんどの家臣団は第1回から登場していましたが、直政(当時・万千代)は第15回からの登場でした。そして徳川四天王の中では、酒井忠次さん(大森南朋)の次に早く亡くなるので、物語にスピード感があって、短い時間で人生が濃密に描かれていたなという印象です。“赤鬼”とも呼ばれていたように、戦においての功績が目立ちやすい直政ですが、彼の魅力はそれだけではないと思っています。例えばドラマの中でも仲さん(高畑淳子)とのエピソードで描かれたように、物事を有利に運ぶためなら戦略的に人間関係を築いたりする一面も。そういう知的なところも魅力的だなと思っています」と、自身の解釈を明かす。

役を構築する上では、「血気盛んという面では、本多平八郎(山田裕貴)とも近いところがあると思いますが、違う“熱さ”をどう表現できるかは当初悩んだ」というが、「ある日、家臣団がそろっているシーンを現場のモニターで確認していた時に、僕一人だけ異様に白くて、ちょっと異質さを感じまして(笑)。それを見た時、『あ、これだ!』と思いました。史実でも部下からすごく恐れられていたというのが残っているそうですが、特に小牧長久手の戦いのあたりからは、平八郎が炎の熱さだったら、直政は氷のような。どちらも近づくのが怖いけれど、その方向性が少し違うというイメージを持って演じていました」と、平八郎との対比を意識しながら撮影に臨んだ。

印象深いシーンには「第32回で殿(家康)と本多正信(松山ケンイチ)との3人のシーン」を挙げ、「そこでサラッと『武田の兵をまとめられるか』と殿から言ってもらえた訳ですが、戦国の世を生きて殿に仕える者としてすごく光栄なことですし、1人の武将として力を認めてもらえたというのが実感できるシーンだったので、印象に残っています」という。「実際に鮮やかな陣羽織と真っ赤な甲冑(かっちゅう)を着用し、武田の残党を率いて声を上げるシーンはこれまでの直政の人生を思うと感慨深かったですし、僕自身の高揚感も重なったように思います」と回顧。「でも甲冑はかなり重みもあるので、撮影で1日中着用していると地面に沈んでいくような感覚になりました(笑)」と苦労があったことも打ち明けた。

また、直政役を演じるにあたり、「基本的にどのシーンにおいても、気持ちの先にいるのは常に殿なので。殿あっての家臣団だし、殿のためにわれわれは動く、というのはずっと軸にしていました」と殿への強い思いも口にする。

そんな家康を演じる松本に対しては「やっぱりすごい」と感じ部分があったという板垣は、「それは、撮影時に“ステージング”にもこだわられていたこと。こう見せて、こういう動きを付けたらどう?とか。それが映像になった時にどう見えるかというところまで計算して、作品全体のことを考えてリハーサルで意見されている様子を見て、いつもすごいなと思っていました。アーティストとしてさまざまなステージに立たれて、さらに芝居の経験も積まれていて、両者を経験されているからこその視点なのだろうと思います」と称賛。

続けて、「その作品のテイストや周りの役者さんの空気感を踏まえて自分が役としてどう立ち回るべきかということであったり、自分のキャラクターの付け方であったり…。それはいつも意識していますが、ステージング的なところや魅せ方、このシーンでどういう動きがあれば効果的かというところまではなかなか考えが及びません。自分にはハードルが高いかなと思いつつも、松本さんの背中を追いかけたいと思える一面でもあります」と、アーティストとしても活躍する松本だからこそ持つ視点の素晴らしいさについて言及した。

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