地域に愛され20年、神奈川・二宮町のざる菊園が今年で幕 花好き農家が無料で一般開放「今後は見る側に」

ざる菊の開花具合を確認する善波さん=13日、二宮町川匂

 長年、地域住民らに愛されてきた神奈川県二宮町川匂(かわわ)の「ざる菊園」が今年で幕を閉じる。2004年頃から自宅裏の放牧地を一般開放してきた農業・善波保雄さん(82)は「みなさんに見に来てもらい、喜んでもらえてうれしかった」と振り返る。

 善波さんがざる菊園を始めたのは、知人からもらった苗を酪農で使用してきた放牧地に植えたのがきっかけ。毎年、肥料の量などを調整しながら株の広がり方などの試行錯誤を重ねてきた。

 約900平方メートルに約400株のざる菊が咲き誇る様子は訪れた人から「雪化粧」とも称され、多くの人々の目を楽しませてきた。善波さんは「土・日曜は100人以上来ることもあった。横浜から来てくれた人もいた」と懐かしむ。

 ただ、今年の菊の植え付けが終わった晩春ごろ、善波さんの膝が痛み出す。「しゃがんだ作業が苦痛になってしまって」。10月の落花生の収穫にも苦労し、「来年の苗の植え付けが難しそうだ」と今年限りでの閉園を決めた。閉園を知った人からは「寂しいね」「行くところがなくなっちゃう」との声をかけられたという。町観光協会も「写真を撮りに行く人がいっぱいいた」と惜しむ。

 花好きの善波さんは「今後は育てる側から見る側に回りたい」と話している。

 見頃は27日ごろまで。入場無料。問い合わせは、善波さん電話0463(72)1312。

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