那覇市有地巡り4500万円と500万円 贈収賄容疑で前市議長や元総会屋ら逮捕 関係者「議長の影響力に期待した金」

 民間人女性が所有権を主張している那覇市有地を巡り、女性への所有権移転後に土地の購入を希望する不動産会社側から那覇市議会議長在任中に現金計5千万円を受け取ったとして、県警捜査2課・那覇署の特別捜査本部は15日、前議長の久高友弘容疑者(75)を収賄容疑で逮捕した。久高容疑者と共謀したとして、収賄容疑で民間人女性の成年後見人で71歳の容疑者も逮捕し、さらに贈賄容疑で鹿児島県の元総会屋で80歳の容疑者と、東京都の会社役員で70歳の容疑者を逮捕した。

 久高容疑者の逮捕容疑は、所有権を主張する民間人女性への便宜を図ってほしいとの趣旨と知りながら(1)2020年12月に当時不動産会社代表の男性(73)と元総会屋の容疑者から現金計500万円(2)21年2月に不動産会社代表と元総会屋、会社役員の両容疑者から現金計4500万円-をそれぞれ賄賂として市議会議長室で受け取った疑い。

 関係者によると、当時不動産会社代表だった男性は闘病中のため、在宅で調べを受けている。本紙のこれまでの取材に対しては「女性に所有権が移ったタイミングで土地を買い取る約束をしていた。議長としての影響力に期待した金だった」と証言している。

 久高容疑者は議会での質問や百条委員会の設置提案を通じ、「戦後、民間人女性の土地が市に不正に侵奪された」などと追及していた。一方で民間人女性の成年後見人である容疑者から所有権移転後の土地売買の取りまとめを一任されるなど、土地売買のビジネスに強く関与する立場にいた。

 県警は10月、市議会政務活動費を不正に受給した詐欺の疑いが浮上したとして、久高容疑者の自宅を家宅捜索。久高容疑者は同月に議員を辞職し、事務局に192万円を返還した。

 久高容疑者は1977年、市議会議員に初当選し、当選回数は10回。2019年8月から議長を務めた。

任意同行を求める捜査員と話す久高友弘容疑者(右)=15日午前6時55分ごろ、那覇市三原の容疑者宅(玉那覇長輝撮影)
久高友弘容疑者

© 株式会社沖縄タイムス社