当麻寺中之坊で恒例の茶筌供養

使い古された茶筌を護摩炉に投じる松村院主=16日、葛城市当麻の当麻寺中之坊

 石州流茶道ゆかりの奈良県葛城市当麻の当麻寺中之坊で16日、「茶筌(ちゃせん)供養」が営まれた。使い古された茶筌が参拝者の祈願が書かれた護摩木とともにたき上げられた。

 境内の大和三名園の一つ「香藕(こうぐう)園」(国史跡・名勝)は江戸時代初期、石州流茶道の流祖片桐石州が現在の姿に改修、茶室は石州がつくった。1936(昭和11)年、境内に茶筌塚が建立され、以来毎年欠かさず茶筌供養を続けている。

 「導き観音」と呼ばれる十一面観音を祭る中将姫剃髪堂前に護摩壇が組まれ、松村實昭院主が護摩炉に古い茶筌を投じた。たき上げられた茶筌の灰は茶筌塚に納められた。

 松村院主は「茶筌はお茶を立てるのに一番大事な道具だが使い捨てされてしまう。ものを大事にする気持ちも持っていただけたら」と話した。片桐石州没後350年を記念して霊宝殿では特別展示を開催している。30日まで。

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