渡部篤郎が桜田ひより主演「あたりのキッチン!」で見せる役者としての姿勢。「与えられた役を全うする」

フジテレビ系で放送中の連続ドラマ「あたりのキッチン!」(土曜午後11:40=東海テレビ制作)。本日11月18日放送・第6話(イレギュラーで午後11:45)では、桜田ひより主演が演じる主人公の大学生・辺清美のアルバイト先である定食店「阿吽(あうん)」の店主・中江善次郎(渡部篤郎)が風邪をひいて味見ができなくなり、清美が善次郎の代わりを担ってピンチを乗り越える。

「あたりのキッチン!」の原作は、白乃雪氏の同名漫画。極度の人見知りで他人とまともな会話ができず、目すら合わせられない、コミュニケーション能力ゼロが故に、友達もできず空回りばかりしてしまう清美が、唯一可能なコミュニケーション手段である料理を通じて変わっていく姿を描く、ハートフル“グルメ”ドラマだ。

幼くして両親を亡くした清美は、叔母・辺明美(原沙知絵)の夫婦に育てられ、仕事で忙しい家族のために食事を作るようになり、誰かのために料理を作る喜びを知る。そんな中、ひょんなことから思い切って飛び込んだ定食店「阿吽」でアルバイトをすることに。一度食べた料理は、食材はもちろん「小さじ1杯」といった調味料の微細な配合まで完璧に分かる“絶対味覚”を持つ清美は、接客はからきしだが、料理の腕はピカイチで、客の一人一人に合わせた味を提案する。そんな清美の思いが込もった料理は、訳ありの客の心をほぐしていく。

登場する料理は定番ながら、食を通じた“思い”がじんわりと心に染みてくる――。従来のグルメドラマとは一味違う「あたりのキッチン!」で、清美の成長を優しいまなざしで見守る善次郎を好演中の渡部。役者として見せる渡部の姿勢は、善次郎の料理への向き合い方と通じる誠実さが感じられる。

ドラマの撮影がスタートする前は 「心の機微を丁寧に描くことが、日本の得意分野」と述べていた渡部。しかし、少し感じ方が変わったようで「今回のようなドラマを作りたいという人がいて、起用していただいたわけですから、そこにすべてを費やすのが自分の仕事だと思って演じています。ドラマの現場ではさまざまな技術が、日々進化していますが、カメラの前で演じる役者の仕事に関しては、昔も今も変わりません。『与えられた役を全うする』という意味では、役者という仕事は非常に職人的といえるかもしれませんね」と、持論を展開。

ドラマを見た渡部の妻から「料理を作ってみたい」と言われてうれしかったことを明かし、「それって一番身近な人たちが、第三者の視点で見てくれているということだから。ただ、今回は料理を説明するためにセリフの量が多くなっていて、そこが大変ですね。料理に興味を持って見てくださる方もいるでしょうし、手を抜くわけにはいきませんから」と苦労も語る。

そして、共演している桜田については、「簡単な言葉になってしまいますが…」と前置きし、「すごく役になりきっていますよね。決して簡単なことではないのですが、努力して役をきちんと自分のものにしている。しっかりと勉強して真摯(しんし)に芝居と向き合っているんだなと感じるので、僕自身刺激を受けています」と称賛。さらに、善次郎の息子・中江清正を演じる窪塚愛流のことは「まだ手探りの部分もあるんだろうと思います」と話しつつ、「でも、今の時期はそれでいいと思うし、一つずつクリアしていくことで人としても役者としても成長していくんじゃないですか? 僕もそうだったから」と目を細める。

そして、あらためてドラマの見どころを聞かれると「キャストもスタッフも心を込めて作っているので、いろいろな見方があっていいと思いますね。そこは、視聴者の皆さんに委ねたいと思います。清美の成長に注目される方もいれば、料理に着目される方もいる。また、善次郎と清正が父子として徐々に打ち解けていく過程に注目される方もいるのではないでしょうか。ただ、清美のようになかなか人と打ち解けられない人にとって、『阿吽』みたいな場所があるということが大切だったり、そういう場所が自分のそばにもあったらなと、思っていただけたらいいなと思います」と率直な思いを伝えてくれた。

第6話。清美が「阿吽」に行くと、困り果てた善次郎の姿があった。鼻が利かなくなり料理の匂いをかぎ取れず、味見ができないと言うのだ。清美の味覚を信頼している善次郎は、自分の代わりにと味見役を任せることに。清美は、細かな点まで念入りに確認していく善次郎の姿勢に、あらためて細かな気遣いが味付けに反映されていたことを痛感する。 何とか大役をこなした清美だったが、さらなるトラブルが店を襲う。

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