「家賃と光熱費を払うのがやっと」 無料の食料配布に95人が列 物価高の影響受け 那覇市・牧志公園

食料支援に並ぶ人の列=21日、那覇市の牧志公園

 昨今の物価高の影響を受け、無料の食料配布に集まる人が増えている。支援団体によると希望する人が増え、寄付や補助金などで運営する予算が足りなくなる可能性があるという。

 21日午前10時過ぎ、観光客でにぎわう那覇市の国際通りに近い牧志公園で開かれた無料の食料配布に95人が列を作った。食パンや缶詰、レトルト食品などを1人3点まで持ち帰ることができる。この日は女性限定の配布で高齢者の姿が多く見られたが小さな子どもを連れた母親の姿もあった。

 列に並んでいた那覇市の70代の女性は勤務していた飲食店が新型コロナの影響で閉店したため職を失い、3年前から生活保護を受けるようになった。「年齢のせいで仕事が見つけられない。年金と生活保護で家賃と光熱費を払うのがやっとで食費はほとんど残らない。食べ物をもらって本当に助かっている」と話した。

 那覇市の30代女性は2歳の長男を連れて列に並んだ。子育てのため仕事を辞めたが、コールセンターで働く非正規社員の夫の収入だけでは生活が苦しく、半年前から食料配布に並ぶようになった。「トイレットペーパーや紙おむつなど必需品が値上がりして困っている。子どもが就学したらさらにお金が必要だと思うと不安だ」と漏らした。

 この日、無料の食料配布を行ったボランティア団体「ゆいまーるの会」の嘉手苅直美代表は「年金の支給額は増えないのに物価は上がり続けており、生活に困窮する高齢者が増えている」と指摘。食料は那覇市からの補助金と個人や企業からの寄付で購入しているが「このまま支援を希望する人が増えると希望する人全員に配布できなくなるかもしれない」と述べた。

 県子ども生活福祉部によると、県内で生活保護を受ける世帯は今年8月時点で3万2109世帯。7月に次ぎ、過去2番目に多いという。

 同会は12月にも食料配布を、5日(火)、19日(火)は女性限定で、14日(木)、28日(木)は男性限定で行う。男女とも雨天の場合は同じ週の金曜日に延期する。

食料配布の様子。食パンやレトルト食品などが並ぶ=21日、那覇市の牧志公園

© 株式会社沖縄タイムス社