枯れ葉や廃材…摩訶不思議な空間 豊後高田市で甲斐哲義さん個展【大分県】

自然の素材を多用した会場=豊後高田市の二豊ガスショールーム櫨蔵
「宇宙や生命を描こうとするほど試行錯誤が増える」と話す甲斐哲義さん

 会場内には敷き詰められた枯れ葉に草木、大小の石、さびた鉄の板に廃材―。由布市挾間町の画家、甲斐哲義さん(80)の個展「マンダラ」が、豊後高田市浜町の二豊ガスショールーム櫨(はぜ)蔵で開かれている。一般的に美術館やギャラリーでは作品保護のために使用が難しい素材が、摩訶(まか)不思議な空間を作り出している。

 甲斐さんの画業60年の歩みを紹介する展覧会で、ライフワークとして取り組む曼荼羅(まんだら)図を中心に絵画や彫刻など約40点が並ぶ。

 2011年に中国・西安にある密教の大本山・大興善寺に3メートル四方の作品を納めるなど高い評価を得ている曼荼羅図には、梵字(ぼんじ)や仏像などは描かれていない。甲斐さんは「元々描いていた具象・抽象画が曼荼羅みたいと言われていた。この構図をモチーフに宇宙の奏でる音や風を表現している」と話す。

 今年初めに病気を患ったこともあり、新作は身体の神秘性の表現に挑んだ。点や線を多用し、「宇宙や生命を描こうとするほど試行錯誤が増える。仏の里の国東半島で曼荼羅図の世界観を楽しんでもらえたら」。

 会場レイアウトを担当した装飾家の高野博史さん(67)=豊後高田市松行=は、甲斐さんのアトリエに数回足を運んで会場のイメージをつくり上げ、設営に10日ほどかけた。「作品の世界観を木と鉄と石で表現した。自然のものを使うことで他にはない会場となった」と話した。

 ▽会期は12月6日まで。開館時間は午前10時から午後5時。入場無料。

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