まきび公園・たけのこ茶屋 ~ 真備町のひとが集まる、笑顔あふれる憩いの場所

平成30年7月豪雨で被災した倉敷市真備町にある、まきび公園内の「たけのこ茶屋」を知っていますか?

地元の特産品や新鮮なお野菜の販売、うどんやそば、アイス、コーヒーなどの軽食や喫茶もできる場所ですが、地元のひとにもあまり知られていなかったそうです。

災害後、以前より多くのお客さんが集まるようになった、休憩所・たけのこ茶屋を紹介します。

まきび公園・たけのこ茶屋とは

たけのこ茶屋は平成元年(1989年)に着工し、その翌年ごろにオープンしました。

昔は、吉備真備(きびのまきび)を輩出した吉備氏の氏寺である吉備寺や、南に位置する八田神社の周りは田んぼや畑だったそうです。

八田神社は、箭田(やた)村がそれより昔に八田村という名前だったことから命名の由来となっています。

その田んぼや畑を整備し、まきび公園とまきび記念館、そしてこのたけのこ茶屋を作りました。

中国風庭園のまきび公園にマッチする、屋根の端が反りあがっているのが特徴的な中国風建物という共通のコンセプトで作られています。

たけのこ茶屋では真備町の高齢者の生きがい対策として、地元の高齢者のかたたちが手づくりされた野菜やたけのこなどを販売しています。

そして、食事や喫茶もできる休憩所としてオープンしました。

たけのこ茶屋のメニュー

おもなメニューは、以下のとおりです。

ドリンクはテイクアウト可能なので、公園内のベンチに座って飲めますよ。

取材した日は、ランチセット(800円)を注文しました。

ランチセット

地元産のお野菜を使った副菜が魅力的なセットです。

  • うどん または そば
  • 玄米ごはん(取材時は黒米とうるち米のブレンド)
  • 季節の野菜を使った副菜(取材時はアスパラ菜のからしあえ・なます・聖護院かぶの煮物)

彩りも良く、栄養バランスも考えられたメニューとなっています。

彩りも豊か
季節の野菜を使った副菜(日によって内容は変わります)

副菜は日替わりで、取材した日はアスパラ菜のからしあえ・なます・聖護院かぶの煮物でした。

ランチセットはうどん、またはそばと選べるので、おなかが空いているときはセットがおすすめです。

また、季節限定ミニパフェ(400円)もいただきました。

取材時は秋限定のマロンパフェで、コーンフレーク・マロンソフト・マロンクリームという内容です。

まきび公園を眺めながら、のんびりスイーツを楽しむのも良いかもしれませんね。

まきび公園を眺めながら、ミニパフェをいただく

野菜や真備の特産品も

食事だけでなく、真備の特産品も販売しています。

新鮮野菜
真備町の竹を使ったインテリアショップ「テオリ」の竹製品

真備町の特産品と食事を提供し、現在は住民が集まる場所となった「たけのこ茶屋」。

記事の後半では、平成30年7月豪雨直後のたけのこ茶屋について紹介します。

たけのこ茶屋で働く、美藤有可里さんにインタビュー

たけのこ茶屋の店長 美藤有可里さん(取材をおこなった2018年12月当時)にインタビューをおこないました。

インタビューは2018年12月の初回取材時におこなった内容を掲載しています。

平成30年7月豪雨の発災時について

──平成30年7月豪雨時の状況を教えてください。

美籐──

堤防が決壊した高馬川に近いのですが、幸いまきび公園、まきび記念館、そしてたけのこ茶屋は浸水被害からは免れました。

7月7日の災害直後は水道が止まったため営業をお休みしましたが、7月24日に飲料可能な水道が復旧してすぐ営業を再開できました。

近くの公民館は現在、復旧工事のため以前と同じように使えません。

そのため、手芸などのワークショップで「たけのこ茶屋を使わせてください」と声をかけていただいて、たけのこ茶屋のフリースペースを半分は支援物資を置き、半分をミーティングルームとして利用していただいています。

たけのこ茶屋は被災しなかった施設だから、安定して場所を提供できています。

真備町産のお野菜や竹製品をそろえる、たけのこ茶屋

──店内の販売商品について教えてください。

美籐──

たけのこ茶屋では、地元のかたが作られた新鮮なお野菜を中心に、真備町の竹を使ったインテリアショップ「テオリ」さんの竹製品も置いています。

テオリさんの工場は平成30年7月豪雨で浸水被害にあわれましたが、がんばって復旧して製造されています。

人気の「鍋敷き」がずっと欠品していたのですが、最近やっと入荷しました。

家具製造が軌道にのって、端材で小物が作れるところまで製造ラインが戻ってきたのだと思います。

災害後の大きな変化、真備町のひとに知ってもらえたこと

──災害前と比べて変化はありましたか?

美籐──

お客様が増え、手が回らないほど忙しくなりました。

たけのこ茶屋は真備町の特産品を発信する場所なのに、真備町の多くのひとがこの公園のことを知らなかったんですよね

たけのこ茶屋は豪雨災害後、残った施設のなかで唯一食べ物が食べられた施設です。

ボランティアのひとや、被災した真備町のひとがご飯を食べに、また休憩をしてお話をするために、たくさん来てくださいました。

支援物資が置いてあるので、初めて来てくださったかたもいます。

現在は支援物資の設置は終了しています

そういうお客様に2度、3度来ていただけるようにメニューを変え、サービスを変える工夫をしていこうというきっかけにもなりました

玄米や黒米、旬の野菜をメニューに取り入れ、身体に良いものや元気になれるものを作るように心がけています。

2018年12月当時のメニュー

おわりに

まきび公園は、春には桜、初夏にはホタル、秋には紅葉、冬はツバキの花など四季折々の景色を楽しめます。

とくに11月中旬に見ごろをむかえる紅葉は、異国情緒あふれる園内の建物と融合して、まきび公園でしか見られない格別な情景を眺められ、おすすめですよ。

自然と調和した魅力あるまきび公園、そして笑顔の絶えない休憩所・たけのこ茶屋のことをもっと多くのひとに知ってもらい、真備町のかたたちと交流が増えたらうれしいと思いました。

自然あふれるまきび公園を散策し、たけのこ茶屋で休憩してみてはいかがでしょうか。

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