横浜・大さん橋で絵はがき展示 戦前、乗船客に配布 「日本らしさ」前面に

「絵はがきからは、乗客に喜んでもらおうと工夫を凝らした担当者の心意気がにじむ」と語る笠原さん=横浜市中区

 大正末期から昭和初期にかけ、貨客船の乗客に配られた絵はがきが、横浜港大さん橋国際客船ターミナル(横浜市中区)で展示されている。北米や欧州との定期航路を運航していた日本の船会社が記念品として用意。乗客の過半が外国人だったことから、風景や文化など「日本らしさ」を前面に押し出した図柄になっており、より多くの外国人観光客を誘致したい船会社の「おもてなしの心」が感じられる。

 ターミナルの展示スペースに並んでいるのは船会社8社が配布した41枚。日本郵船の絵はがきには、かさをかぶって草むらを散策する着物姿の若い女性や、十二単(ひとえ)の女性が琵琶を演奏する様子が多色刷りで描かれている。

 明治期に日本の船会社として初めて横浜─米サンフランシスコ間を運航した東洋汽船は、南北朝時代の武将・楠木正成正行(まさつら)親子が決別する逸話「桜井の別れ」を図柄に選んだ。

 これらは全て、横浜税関に約40年勤務した笠原喜保さん(77)=川崎市宮前区=が収集したもの。約4千種類のコレクションから厳選した。

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