圧巻ビッグセーブで流れ引き寄せた東京Vの守護神マテウス、「何かを成し遂げるチームはGKの力が必要」

千葉戦勝利の立役者となった東京Vの守護神マテウス[写真:©超ワールドサッカー]

東京ヴェルディのブラジル人GKマテウスが、2023J1昇格プレーオフ準決勝のジェフユナイテッド千葉戦を振り返った。

今シーズンの明治安田生命J2リーグを2位のジュビロ磐田と同じ勝ち点75で終えたものの、得失点差で涙を呑んで3位フィニッシュとなった東京V。これにより、2018シーズン以来の参戦となるプレーオフで、16年ぶりのJ1昇格という悲願達成を目指す。

26日に味の素スタジアムで行われた準決勝では6位の千葉を迎え撃ち、前半にMF中原輝、MF森田晃樹が挙げた2ゴールを守り切って2-1の勝利を収めた。そして、決勝進出を決めたチームは12月2日に国立競技場で行われる決勝で、モンテディオ山形を破った清水エスパルスと対戦する。

レギュラーシーズンでチーム唯一のフル出場を果たし、リーグ最少失点の堅守に貢献した緑の守護神はこの試合でもさすがの存在感を発揮。

守勢を強いられた前半18分にはボックス中央でMF田中和樹の右クロスに反応したFW呉屋大翔の至近距離からの決定的なシュートを、完璧なポジショニングと驚異的な反射神経によって顔面セーブ。このビッグプレーが前述の前半の連続ゴールの契機に。さらに、後半終盤も千葉の猛攻を安定したゴールキーピングで阻んだ。

「何かを成し遂げるチームは絶対的にキーパーの力を必要とする」との持論を地で行く頼もしいブラジル人GKは、チームを助けた自身の仕事に満足感を示した。

「いろんな例があると思いますが、何かを成し遂げるチームは絶対的にキーパーの力を必要とする場面が絶対に来るもの。そういうゲームのなかで今日の試合でもああいうプレーで雰囲気が変わりますし、ひとつのシーンですべてが変わると思っているので、そういった準備は常にできています」

「コリンチャンスのときもそうでしたし、先日のワールドカップを含めて大きな試合ではキーパーが絶対的に必要となる場面が来るので、その準備はできています」

また、前半を中心に千葉の圧力に苦しめられた試合運びの部分は改善点を口にしながらも、したたかに奪ったゴールを含めチームとして粘り強く戦えたと感じている。

「もちろんチャンスの数だけ見ても、前半の入りは相手が上回っていたと思います。ただ、アドバンテージを考えながらゲームを進めることは危ないことで、選手全員がそれを踏まえての入りだったと思います。1点目を取った後にすぐに2点目を取れたことが、今回の試合をスムーズに進められた大きな要因だったと思います」

「準決勝で負ければ終わりというところでジェフさんも素晴らしい選手がいますし、相手が勝たないといけないという部分でゲーム展開のなかではなかなか自分たちの攻撃で時間を使えないという部分は覚悟していた部分。もちろん改善点はありますが、ある程度想定したなかでのゲーム展開でした」

さらに、後半終盤に1点を返されたものの、大きく崩れることなく逃げ切った試合の締め方に関しては「それがチームの力」と、チームの成長への手応えを口にする。

「誰が入ってもやることは変わらず、しっかりと球際や浮き球のボールへの対応を含めて自分たちがしっかりと戦えていたというところで、1点取られた後もチームが崩れることなく最後まで持ちこたえられたと思います」

最後にJ1昇格を懸けた清水との決勝に向けては、準決勝前に語っていたのと同様に一人のプロフットボーラーとして楽しむことも重要性を説いている。

「今日の入りと同じ気持ちを持って試合に入ることが大事。小さいころからサッカー選手になりたいと願い、実際になることができてこういう瞬間を待ちに待った気持ちでプレーできているので、とにかく楽しむことが大事です。次は決勝戦でその次のことを考えることなくその試合に集中できるので、今日と同じように楽しむことができれば、結果は自ずと付いてくると思います」

J1レベルといって過言はない強力攻撃陣を擁する清水との決勝において、間違いなく東京Vのキーマンとなる緑の守護神は、自身の肩にかかる重責を自覚しながらも大舞台を楽しむ心の余裕を持って国立決戦に挑む。

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