技能実習制度廃止し「育成就労制度」創設へ

 地方の中小零細企業や農業などで貴重な労働力としての側面が大きい「技能実習生制度」だが、人権侵害や違法な事案など様々な課題や問題が生じていることから、この制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度への最終報告書が政府の有識者会議(技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議)により、26日までにまとめられた。技能実習制度を廃止し「育成就労制度」を提示している。

 新制度では外国人材を受け入れる職種も介護、建設、農業など特定分野に限定。そのうえで基本的に3年間の就労を通じた育成期間で「特定技能1号」の技能水準の人材に育成することを目指す。

また新制度では1年以上働いて一定の技能と日本語力を備えれば、同一業種内で別の事業所へ「転籍」することも認めることとしている。また監督指導機能や支援・保護機能を強化、労働基準監督署・地方出入国在留管理局等との連携も強化して、制度の適正化と実効性を確保する。

 このほか、新制度では監理団体・登録支援機関・受入れ機関・送出機関の適正化を図るため要件等を厳格化するとしているほか、監理団体については独立性・中立性や受入れ機関数等に応じた職員の配置・相談対応体制を担保するなどした上、新たに許可を受けるべきものとし、機能を十分に果たせない監理団体は許可しない。こうした制度見直しにより人権侵害などの問題発生抑止にも効果を上げたい考えだ。

 審議会は外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること。外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みを作ること。全ての人が安全安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に資することを柱に制度見直しを検討してきたとしている。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース