改正案に国立大学協会長も異例の懸念表明

 東大、阪大、京大など事業規模の大きい国立大学を「特定国立大学法人」に指定し、大学の中期目標や計画、予算・決算など重要事項を決める「運営方針会議」を設置したうえで、会議委員の任命には文科大臣が承認するなど、政府の関与が強まり「大学の自治」「自律性」が害される懸念から「国立大学法人法の改正案」には相次ぎ批判や反対、懸念の声が上がっている。こうした中、国立大学協会の永田恭介会長も27日までに法案に関して異例の会長声明を発表した。

 声明では「運営方針会議について義務的設置か任意的設置かによって、あるいは運営方 針会議の設置の有無に基づいて、国立大学法人を区分し、その区分に基づき、資源配分等の取扱いに差を設けないこと」と予算配分への懸念を示している。

また「制度の運用上、それぞれの国立大学法人又はその集合を指す場合に『準特定国立大学法人』の名称を用いず、『特定国立大学法人』と一体のものとして扱うこと」。

 「運営方針会議の運用にあたっては、意思決定過程が複雑となり迅速な措置や対応が妨げられることがないよう留意して、これを設置する国立大学法人の自主性・自律性を尊重すること」としている。

 永田氏は「運営方針会議」は国際卓越研究大学に選定された大学について設置が検討されてきたものだったのに、事業規模の大きい国立大学法人に対して設置を義務付ける、と本来の趣旨から拡大されていると疑問も呈している。

 法案は自民、公明、維新、国民の賛成多数で衆院を通過しており、現在、参院に審議の場が移っている。衆院本会議では牧義夫立憲民主党議員も「文科大臣による運営方針委員の承認拒否など、第2の日本学術会議問題が起こると危惧されている」と強く問題を含む改正案だと提起している。慎重な審議が求められている。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース