【MLB】カージナルスがグレイと契約 今季3人目の先発投手補強

写真:ソニー・グレイ

昨季はチーム史上稀に見る大敗を喫したカージナルスが、着々と戦力強化を進めている。

日本時間28日、カージナルスとソニー・グレイが契約合意見込みであることが報じられた。スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者がXにてポストした。3年契約で、総額7500万ドルの契約となっている。

グレイは現在34歳。2013年にアスレチックスでメジャーデビューを果たしたのちヤンキース、レッズ、ツインズと渡り歩き、カージナルスは4球団目となる。今季までに279登板(うち270先発)で98勝を挙げており、今オフのFA史上では屈指の実績を誇る投手の1人だ。

今季のグレイは32試合に先発し8勝8敗。勝ち星こそ伸びなかったものの、キャリアでは3番目に多い184イニングを消化し、防御率は2.79。Fangraphs算出の総合指標WARではケビン・ゴーズマンに並ぶ5.3を叩き出し、ア・リーグ屈指の貢献を残したと評価された。これはグレイにとってもキャリアハイであり、34歳という年齢を考えるとどの程度の契約をつかめるかは注目すべきポイントだった。

その点で言えば3年7500万ドルという契約規模は、グレイの年齢を考えればかなり大きな契約になったと見るべきだろう。30代後半になって長期の大型契約を結んだダルビッシュ有の例などもあるが、これは特別なパターン。年齢によるパフォーマンスの低下が立証された現代において30代半ばの投手が3年以上の契約を結ぶことはあまりない。グレイとしては文句のない結果なのではないだろうか。

カージナルスはこれで今季カイル・ギブソン、ランス・リンに続く3人目のベテラン先発投手補強となった。彼ら3人の共通点は相手打者を制圧するような投球こそできないものの多くのイニングを消化できるイニングイーターであることだ。

今季のカージナルスはシーズン前半から負けがかさみ、トレード期限ではジョーダン・モンゴメリーをレンジャーズへ、ジャック・フラハティをオリオールズへそれぞれ放出。さらにアダム・ウェインライトが引退し、ダコタ・ハドソンがノンテンダーFAとなったことで開幕時点で先発を担うと見られていた6人のうち4人が抜けた状態だ。一方で来季ローテーションを任せられるような有望株も育っていないため、ひとまず安定して先発登板をこなすことができるベテランを獲得し、弱点を補強する方針を取ったと思われる。

これで来年のカージナルスのチーム年俸はおよそ1億8371万ドル(『Cot's Baseball Contract』から試算)となり、開幕前にチーム史上最大のペイロールとなっていた今季をさらに上回ることがほぼ確実となった。ナ・リーグ中地区屈指の名門は、21世紀に入って初めての90敗を喫した屈辱を晴らすことができるだろうか。

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