「大谷翔平はすでに殿堂入り選手だ」 MLB公式サイト記者が主張

直近3シーズンの大活躍により、二刀流のスーパースターとしての地位を不動のものとした大谷翔平。メジャーリーグ史上、誰も成し遂げられなかったことをやってのけた。今オフは歴史的な大型契約を結ぶことが確実視されているが、大谷が今後も直近3シーズンと同様の活躍を続けられる保証はどこにもない。もしかしたら故障や不振によって「不良債権」と呼ばれることになってしまうかもしれない。それでもMLB公式サイトのアンソニー・カストロビンス記者は「大谷はすでにアメリカ野球殿堂入りに値するキャリアを過ごしている」と主張している。

まず大前提として、殿堂入り投票の候補者となるためには、メジャーリーグで10シーズン以上プレーしていることが必要である。大谷は2018年にメジャーデビューし、今季が6シーズン目。現在29歳、残り4シーズンということを考えると、この最低限のハードルは間違いなくクリアするだろう。

次に、大谷の成績を見ていこう。カストロビンス記者は「3シーズンしか素晴らしい成績を残していない選手は普通、殿堂入り候補にはならないが、2021~23年の大谷の活躍は殿堂入りに十分値する」と主張する。打者としては「OPS+」で161を記録(これはメジャー平均より61%優秀だったことを意味する)。一方、投手としては「ERA+」で151を記録(これはメジャー平均より51%優秀だったことを意味する)。ほかの選手の2倍近い労働量をこなしていたにもかかわらず、投打両面でメジャー平均を大幅に上回る働きを見せていたのだ。

その結果、データサイト「ベースボール・リファレンス」が算出する総合指標WARでは、2021年に9.0、2022年に9.6、そして今季は10.0を記録。3年連続で9以上のWARをマークした選手は、過去にベーブ・ルース、ボブ・ギブソン、レフティ・グローブ、ミッキー・マントル、ロジャー・ホーンスビー、ウィリー・メイズ、バリー・ボンズしかおらず、ステロイド問題を抱えるボンズ以外の全員が殿堂入り選手である。これだけでも十分に説得力のあるデータだと言えるだろう。

もちろん、短期間だけ素晴らしい活躍を見せた選手は過去にもいた。カストロビンス記者は、デニー・マクレーン、デール・マーフィー、ドン・マティングリー、ダリル・ストロベリーといった殿堂入りしていない名選手たちの名前を挙げ、彼らに敬意を表している。しかし、大谷には「フィールド内での成績に加えて、野球のあり方を変えたという特別な業績がある」とカストロビンス記者は主張する。

たとえば、キャンディ・カミングスは1870年代に6シーズンだけプレーしたに過ぎないが、「カーブボールを発明した」という理由で殿堂入りしている。ディーコン・ホワイトはまずまずのスタッツを残しているが、「キャッチャーマスクとワインドアップの普及に貢献した」という部分も評価されている。キング・ケリーもスタッツ的には微妙なところだが、積極的な走塁などでファンに愛され、メジャー創世記の最大のスターの1人であったことから殿堂入りを果たしている。「野球殿堂は各世代を形作った人々の物語を通して、野球の物語を語ることを目的としている。21世紀の野球は大谷抜きには語れない」とカストロビンス記者は言う。

ロリー・フィンガースの殿堂入りのプラークには「現代のリリーフエースの出現」を象徴する存在であったことが記されている。大谷の登場はルールブックの変更につながり、「大谷ルール」が誕生した。今年のドラフトで8人の二刀流選手が指名されたように、過去の殿堂入り選手たちと同様に、大谷は「野球を変えた選手」の1人なのだ。

これらを踏まえ、カストロビンス記者は「彼は我々が目撃した最高の野球選手の1人であるだけでなく、野球の歴史において最も重要な選手の1人でもある。大谷抜きでは21世紀の野球の物語は不完全なものになってしまう。だからこそ、彼はすでに殿堂入り選手なのだ」と強く主張した。

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