戦争で家族失い孤児院で生活 イラン出身の俳優サヘル・ローズさん「社会に目を向け困っている人いたら声をかけて」 

 イラン出身で俳優のサヘル・ローズさんの講演会(主催・沖縄県女性の翼)が23日、那覇市内のホテルで開かれた。サヘルさんは、スマートフォンやネットの情報ばかりに頼るのではなく「社会に目を向けてほしい」と語りかけた。

 演題は「出会いこそ、生きる力」。イラクとの戦争で家族を失ったサヘルさんは、孤児院での生活や、来日して多くの人に助けてもらった過去に触れながら、社会や身の回りで起こっていることに関心を持つ重要性を強調。

 「私たちは携帯(電話)で情報を得られる一方、社会と自分の距離を簡単に選択できてしまう。手元の小さな世界は自分の得たい情報や人とだけつながり、真実がそこにあるかは分からない。デジタルが発達し、真実を追うことを見落としてしまっている」と指摘した。

 その上で「携帯を捨ててとは言わないが、1日15分だけ目線を社会に向けて、大切な人や歩いてきた街、自分自身を鏡で見つめてほしい。目を背けたくなることもあるが、一人一人の心の悲鳴に気付いてほしい」と語り、周りに困っている人や気になる人がいれば「『大丈夫ですか』と一声かけて」と呼びかけた。(社会部・榧場勇太)

講演するサヘル・ローズさん=23日、那覇市・パシフィックホテル沖縄

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