オダギリジョーと蒼井優が最先端の技術に感動! 知的探究ドキュメンタリー「フロンティア」で語りを担当

NHKが12月1日にスタートさせる新しい二つのBS局・NHK BSとNHK BSプレミアムでは、12月6日から、最新の撮影技術を駆使した知的探究ドキュメンタリー「フロンティア」(NHK BS=水曜午後9:00、NHK BSプレミアム4K=木曜午後10:00)が開始。このたび、ナレーションを担当するオダギリジョー蒼井優、番組を手掛ける白川裕之プロデューサーが取材会に出席した。

「フロンティア」は、「未踏の知の最前線、そこではどんな景色が見えるのか?」をコンセプトに、科学、宇宙、文化、歴史、芸術、ファッションなど、さまざまな分野でフロンティアを切り拓く“開拓者(フロントランナー)”たちをフィーチャー。現代の最先端を切り開く者だけに見える“一歩先の新しい世界”を、最新の撮影技術を駆使した4Kのダイナミックな映像で伝える。

最初に、オダギリと蒼井の起用理由を聞かれた白川氏は「お二人は、表現の世界におけるフロントランナーでいらっしゃるので、その卓越した表現力は唯一無二の存在だなと思っております。われわれがフロンティアで新しい世界観を取材してきた映像や、つづってきたストーリーをどのようにお届けするのかと考えた時に、お二人の感性を掛け合わせた形で紹介したいと思いました。撮ってきたものを最初に見てもらい、それぞれの感性で解釈していただいたものを最終的に番組の形で届けたい。つまり、われわれの番組の大切な作り手の1人として参加していただきたいなと。そういう強い思いでお願いしました」と語った。そして、取り上げるテーマによって、どちらが語りを務めるかを決めていくことを明かした。

第1回「日本人とは何者なのか?」のテーマは「日本人のルーツ」。日本人の祖先がいつどこからやって来たのかを、最先端のDNA解析を基に解き明かす。この回の語りを担当したオダギリは、普段でもドキュメンタリーの番組を見ることが多いそうで、「今回、このような新しい番組に呼んでいただけて、本当にうれしかったです。きっと自分がナレーションを担当しなくても見るであろう番組だったので、仕事ですが『少し早く見ることができてラッキー!』という感じで喜んでお引き受けさせていただきました」と声を弾ませる。

そして、蒼井も「私は映画もドラマも好きですけど、ドキュメンタリーも大好きなので、私にとってナレーションはとても難しいお仕事ですけれども、どこかでできるようになりたいなと思っている自分がいます。今回このような素晴らしい番組なので、緊張してしまうんですけれども、ぜひ一緒に作っていく一員にさせていただきたいなと思ってお引き受けしました」と笑顔を見せた。

テーマによっては、アドリブのような独特の語り口でナレーションをする回もあるそうで、オダギリは第2回「AI究極の知能への挑戦」で即興の語りに挑戦した。「つぶやきというかぼやきというか、そういうタイプのナレーションになっていまして…。ディレクターさん、制作チームの願いというか、そういうものにしてみたいという思いがあったので、僕も初めてだったんですけれども、あまり台本に縛られることなく、その時の感情によって言いやすい言い方に変えて、より普段のテレビを見ている素のリアクションに近い声になっています。それが意外と面白くて…」と説明した。

続けて「蒼井さんもおっしゃっていましたけど、僕もナレーションはすごく難しいと思っていますし、役者として芝居をしているのとは違うので悩み悩みやるんですけど、AIの回は、芝居に近かったのですごくやりやすくて楽でした。ちゃんと読まなきゃ、みたいな意識がなかったので、もしかしたら(自然に出た)聞こえないセリフとかもあるかもしれないです(笑)」と振り返り、「でも、そのくらい視聴者の感情に寄り添っているであろうと思いますし、AIというまだまだ完璧に理解されていないテーマに対する距離の詰め方として、ナレーションが一つ手助けできることになればいいなと思いました。今後もちゃんと読むばかりではなく、ちょっと崩したラジオのようにそういうナレーションもできればいいなと思っています」と抱負を語った。

小さい頃から宇宙に興味があったという蒼井は、第3回「火星で新発見!奇跡の宝石オパール」を担当。その回はアドリブではなかったようで、「まだシートを読むバージョンしかやっていませんが、アドリブは苦手なんです」と苦笑しながら、「アドリブ的なものがあると聞いてちょっとドキドキしていますが、レギュラーで毎回皆さんと同じメンバーで顔を合わせて物を作っていけるという、とても貴重な経験なので、皆さんにいろいろと教えていただきながら楽しめたらなと思います」と意気込んだ。

そして、小さい頃のエピソードとして「うちは父が宇宙を大好きで、自分で天体望遠鏡を作って写真を撮るのが何十年もの趣味。幼少期から夜は車から降りるたびに(空を指差して)あの星は何で、星座は何…という話をされていたので、宇宙の話は身近でした」と明かし、「今回、初めて担当した語りが、火星のオパールでとてもうれしかったです」と喜んだ。宇宙に詳しいかを聞かれると「私は宇宙が身近でしたが詳しくなくて、NASAのホームページで宇宙ステーションのライブ配信が見られるんですけれども、それを自宅で流しているくらいです」と謙遜した。

最先端の技術を駆使した「フロンティア」にちなんで、未来がどうなってほしいかを質問されると、オダギリは「あんまり大きく変わってほしくないなという気はしています。第2回のAIを見ていただくと分かるんですけど、時代が変化するスピードが速すぎて、われわれがついていけていないんじゃないかと思いますし…。結果、10年、20年後にとんでもないことになっていたら嫌だなと思うので、本当に止めるべきところは止めるぐらいでいてほしいなと」と、発展目覚ましい現代を心配する発言も。「脳みそだけで体はもう必要ないみたいな生活は嫌ですし、怖いなと思う。やっぱり自分で体験したいし、知識や脳みそだけではない人生の過ごし方の大切さも忘れちゃいけないと思うので、本当にあまり大きく変化してほしくないかな」と付け加えた。

続けて蒼井も「もう少しリラックスしていたいなと思います。私も年々自分がボーッとしてきているので、本当に外の世界を知るとアワアワしちゃうことが多くて(笑)。世の中には素晴らしい発見だったり、驚きだったりがまだまだたくさんあふれていて、そういうことに素直に感動していてくれたらいいなと思います」と、昔からあるナチュラルな生活ができる未来を望んだ。

なお、番組では、インタビューされる人たちの話をより引き出す手法として、カメラ目線で撮影するシステムを採用。それについて、オダギリも蒼井も、画期的だと絶賛した。

「カメラ目線で学者の方たちが説明するのですが、実はカメラのレンズの前にスクリーンを用意して、ディレクターの方がリモートでパソコンに自分を映したものを、そこに出しているんです。なので、学者の方はディレクターさんに語りかけているんだけど、その奥にカメラがあるからカメラ目線にちゃんとなっているし、カメラ目線だけど棒読みになるんじゃなく、ディレクターさんにちゃんと感情を届けているから自然な語り口になる。そういうシステムを開発されたそうです」と説明したオダギリ。「僕も一度体験させてもらったんですけど、カメラが奥にあることを忘れさせてくれますし、このシステムだと今までに出てこなかった言葉も引き出せたりするんじゃないかなと思いました」とコメント。

蒼井も「私はカメラが向いている中で、自分の言葉でしゃべるとすごく緊張してしまって、カメラの先にいる方が『この言葉を使ったら傷つく人がいるのかも』とかを考えながらしゃべってしまい、結局自分が言いたかったことがうまく言えなかったのかな…と思ったりすることがあるんですけれども、このシステムは目の前に人がいる状態でお話できるスクリーンがあるので、見ている側が直接自分に話して笑っているような、自分に話しかけてもらっているような感覚になれる作品になると思います」と語った。

番組公式X(Twitter)では、このシステムについての情報も発信する予定。初回の「日本人とは何者なのか?」は、12月18日(深夜0:25)に、総合テレビでもオンエアされる。

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