3年越しの甲子園 「あの夏を取り戻せ」佐久長聖野球部OBが夢の舞台で躍動!【長野】

3年前の夏、新型コロナの影響で高校野球の甲子園大会が中止になりました。その年の県大会で優勝したのが佐久長聖です。
出られるはずだったのに出られなかった夢の舞台、当時の3年生が試合をしました。

「選手が入場します」

大観衆の夏の甲子園ではありませんが、あの頃と変わらない、憧れの舞台。

■会場アナウンス
「長野代表佐久長聖OB~」

もう高校球児ではありませんが、あの頃と変わらない、ワクワクとした表情。

■実況
「さあ45校42チームの入場行進が終了しました3年前。甲子園に出るはずだった選手などおよそ700人が、全国から集まりました。」

2020年の夏は、あまりに残酷でした。

■当時の実況
「様々な人が彼らを思い、用意してくれた真剣勝負の舞台です。高校野球の最後を締めくくる、これが最後の試合。
決勝戦です。」

県高野連が独自に開いた県大会。

■当時の実況
「今度は北原!佐久長聖優勝!マウンド上に輪ができる!」

78チームの頂点に立ったのは、佐久長聖でした。優勝すれば、甲子園のはず。
でもこの年は違いました。

■佐久長聖野球部当時のキャプテン・藤原太郎さん
「悔しい気持ちはもちろん力が抜けたような…何も考えられないという感じでした。仕方ないなと思いを自分に言い聞かせているそんな気持ちだった」

「あの夏を取り戻せ」。
東京に住む当時の3年生が声をあげたことをきっかけに、SNSでその思いが拡散。企業やプロ野球選手会などが支援して、大会が実現しました。

■佐久長聖野球部OB
「こういった形で当時の3年生と野球が出来るのはすごくうれしい」

佐久長聖の当時の3年生52人のうち、31人が集まりました。監督と部長の姿も。

■佐久長聖高校野球部・藤原弘介 監督
「何より元気そうな卒業生を見られて本当に楽しいです。しっかり高校野球にけりをつけて人生頑張っていってもらいたい」

■実況
「幻となった2020年夏の甲子園を取り戻すそしてそれを超えていく!あの夏を取り戻せオープニングゲームです」

愛媛代表・松山聖陵との一戦。試合時間は70分です。
1回の攻撃。

3番の藤原太郎さんは大阪の大学に通う、当時のキャプテンです。
1年の夏、甲子園に出場し、代打で三振。
背番号17は、悔しさを味わった1年夏の時のものです。

■実況
「引っ張り込んでいった!良い当たり!ライトの頭の上!俊足飛ばしてサードへ!キャプテンの一本!」

悔しい記憶を上書きする、スリーベースを放ちました!

■佐久長聖野球部当時のキャプテン・藤原太郎さん
「最高に気持ちよかったです!気持ち良すぎて言葉が出ないです、最高です!」
■藤原選手の母・栄美さん
「(甲子園大会中止が決まった日)泣きながら電話がかかってきた。今までありがとう。ごめんねと。期待はしていなかったけど(打った時は)うれしかったです」

その後…

■実況
「バッテリーミスの間に藤原太郎ホームイン!」

相手のミスで、藤原がホームイン!先制します。一方守備は、当時のエース、長野市出身の梅野峻介さんが登板。

■実況
「三振」

得意の変化球で三振!さらに。

■実況
「外の真っすぐ空振り三振です!」

笑顔でマウンドを降りる!初めての甲子園のマウンドで投げぬきました!

■佐久長聖野球部当時のエース・梅野峻介さん
「甲子園がないとなった時からまさか甲子園で投げられるというのは思いもしなかったので、一瞬一瞬が全部楽しかった」
■梅野選手の父・隆彦さん
「行進している姿を見て泣いてしまった。躍動して投げてくれていて、すごくうれしかったです」

試合は6回途中、1対1の引き分けでした。

■佐久長聖野球部当時のキャプテン・藤原太郎さん
「言うことなしです。大満足で。やっぱり素晴らしい場所だなと思いました。甲子園で出来るというのもそうですけどそれ以上にもう一回あの時のメンバーで野球が出来るというのがうれしくて、めちゃくちゃ楽しかったです」

夢を失った夏から3年。しまい込んでいた無念が、晴れた一日でした。

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