甲府が“ホーム国立”で魂のドロー、メルボルンと壮絶撃ち合いの末に勝ち点「1」分け合う…GS突破は最終節に持ち越しへ【ACL2023-24】

29日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループH第5節のヴァンフォーレ甲府vsメルボルン・シティ(オーストラリア)が国立競技場で行われ、3-3のドロー決着となった。

2勝1分け1敗で勝ち点「7」どうしの甲府とメルボルン。得失点差でも並ぶ両者だが、総得点の差だけで甲府がグループ首位、メルボルンが2位となっている。

◆グループH順位表(※1)
1.ヴァンフォーレ甲府|勝ち点8|得失点差+2
2.メルボルン・シティ|勝ち点8|得失点差+2
3.ブリーラム・ユナイテッド|勝ち点6|得失点差+1
4.浙江職業FC|勝ち点3|得失点差-5

(※1)浙江vsメルボルン開催前時点

J2リーグとの並行も終わり、この試合が今季日本国内でのラストゲームとなる甲府は、前日会見で「J1昇格を逃した悔しさをぶつけたい」と話したキャプテンの関口正大、三平和司、ピーター・ウタカらが先発。12日のJ2最終節・モンテディオ山形戦(1●2)からの変更は4人となった。

勢いよく試合に入った甲府だが、立ち上がりに失点。5分、メルボルンに右サイド(甲府の左サイド)から崩され、最後はボックス内でDFタルボットにシュートを打たれる。ACL初先発のGK渋谷飛翔が守るゴールを打ち破った。

それでもすぐさま同点に。甲府は8分、右サイドからのFKでセカンドボールを拾うと、ボックス左から三浦颯太が柔らかいマイナス気味のクロス。後方から走り込んだ井上詩音がヘディングシュートを叩き込んだ。

開始10分で互いに1点を取り合った試合は一進一退の攻防が続いていく。コンパクトに守る甲府、比較的強めのプレッシャーを前線からかけてくるメルボルン…ピッチ各所で激しいデュエルも繰り広げられる白熱の好ゲームだ。

甲府は24分、フルスプリントで左サイドを駆け上がった三浦がゴール前へクロス。フリーで走り込んだ2列目の鳥海芳樹が触れれば1点というシーンだったが、ほんのわずかに合わず…フィニッシュまで持ち込めずとも決定機だった。

33分、甲府はメルボルンに1分以上ポゼッションされた末、最後はオーストラリア代表の主力級FWマクラーレンにフリーでヘディングシュートを許す。かろうじてポストに救われたが、巧みな動き出しが光るストライカーをフリーにしてはいけない。

一方で、甲府のアタッキングで光るのが左サイドバック三浦。37分、左サイドのハーフウェイライン付近でボールを受けた三浦は、同サイドに流れて囮となったウタカを横目に中央へドリブル。ボックス内まで侵入して放ったシュートはGKにキャッチされたが、積極性と判断が光る。

すると、前半終盤に甲府が逆転。43分、関口が最終ラインから前線めがけてロングボールを入れると、相手DFと競り合いながらも必死にスプリントしたのが鳥海。最後はゴール正面でボールに追いつき、相手GKヤングの頭上を越すループシュートを流し込んだ。

甲府は1点リードで迎えた55分、自陣ボックス内で三浦のハンドがあったか否かについてVARチェックが入り、オンフィールドレビューの結果、メルボルンのPKに。59分、このPKをアルスランに沈められて同点とされる。

メルボルンはさらに64分、右ウイングのブラジル人FWレオ・ナテルがクロスを入れると、甲府は左ウイングのクロアチア人FWヤコリシュをフリーに。ヤコリシュに豪快な右足ダイレクト弾を叩き込まれ、逆転を許してしまった。

この十数秒前に林田滉也→松本凪生、ウタカ→クリスティアーノの2枚替えをしていた甲府。逆転を許すと今度は71分、三平→飯島陸、鳥海→宮崎純真の2枚替え。篠田善之監督が勝負に出る。

観衆1万5877人と場内でアナウンスされたなか、試合もいよいよ終盤へ。まずは同点といきたい甲府だが、カウンター主体に切り替えるわけでもないメルボルンに局面で“剥がされ”るシーンが多く、決して押し気味とは言えない。

それでも82分、右CKの流れからセカンドボールを拾い、ボックス手前から松本が強烈なミドル。しかし、メルボルンGKヤングの横っとびスーパーセーブでCKに逃げられる。ここで得たCKからも決定機。混戦の中から宮崎がバイシクルボレーを放つが、シュートは惜しくもゴール右へ。

そんな途中出場の宮崎が大仕事。85分、クリスティアーノが右サイドに流れてクロスを上げると、ゴール正面で合わせたのが宮崎。ジャストミートはしなかったが、結果的に巧みなバックヘッドとなり、甲府が終盤に来て再び同点とする。

これで勢いづいた甲府。しかし、4点目は奪えず3-3のドローに。この結果、グループステージ突破は第6節(最終節)まで持ち越すこととなった。それでも、“ホーム国立"に詰めかけたサポーターをたびたび沸かせた魂のドロー。J2勢の誇り、日本の誇りと呼ぶに相応しいゲームを今回も披露した。あっぱれ、甲府。

ヴァンフォーレ甲府 3-3 メルボルン・シティ
【甲府】
井上詩音(前8)
鳥海芳樹(前43)
宮崎純真(後40)
【メルボルン】
カラム・タルボット(前5)
トルガイ・アルスラン(後14)
マリン・ヤコリシュ(後19)

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