米軍オスプレイに起きた内外の主な事故一覧 今年8月に豪州で演習中に墜落、乗員3人死亡、5人重傷

By Kosuke Takahashi


米空軍CV22オスプレイ(写真:米空軍)

米空軍横田基地所属CV22オスプレイが29日、鹿児島県の屋久島沖で墜落した。乗員6人のうち、救助された1人の死亡が確認された。世界でオスプレイを運用しているのは米国と日本だけで、米軍オスプレイは米国内外で近年でも墜落死亡事故を相次いで起こしている。日本国内では初めてのオスプレイの死亡事故となる。

事故原因について予断を許さない中、参考までに過去に内外で起きた主なオスプレイの事故は以下のようになっている。

オスプレイの主な事故

2000年4月 米アリゾナ州で夜間試験飛行中に墜落。乗員19人死亡

2012年4月  モロッコでの演習中に墜落。乗員2人死亡、2人重傷

     6月  米フロリダ州で墜落、乗員5人が負傷

2015年5月  米ハワイ州オアフ島で着陸に失敗し乗員2人死亡、負傷者多数

2016年12月  沖縄県名護市沖に不時着し大破、乗員2人負傷

2017年8月  オーストラリア沖で墜落、乗員3人死亡、23人負傷

2022年3月  ノルウェーでNATO大規模演習中に墜落、乗員4人死亡

     6月  米カリフォルニア州の砂漠に墜落、乗員5人死亡

2023年8月  オーストラリアで演習中に墜落、乗員3人死亡、5人重傷

●非常に高いオスプレイの重大事故率

米空軍のCV22オスプレイと米海兵隊のMV22は機体構造が約9割共通する。しかし、CV22はMV22より事故率が高い。防衛省によると、死者や200万ドル以上の損害が出た「クラスA」の重大事故率は10万飛行時間当たりでCV22は6.00(2021年9月末時点)で、MV22の2.27(2022年9月末時点)を大幅に上回る。これに対し、米陸軍戦闘即応センターが発行する航空安全に関するオンライン雑誌フライトファックスによると、米陸軍が運用する有人機全般の重大事故率は2023年11月現在で1.62となっており、オスプレイの重大事故率が非常に高いことがわかる。

●米側から「計画外の着陸」との連絡

防衛省によると、米側からは今回の米空軍横田基地所属の事故機が「計画外の着陸」(unplanned landing)をしたとの連絡を受けたという。宮澤博行防衛副大臣は29日、同機が「不時着水した」と発表。その理由については「米軍からの説明で、最後までパイロットが頑張ってコントロールしていたということで、不時着水としている」と説明した。

しかし、NHKの報道によると、目撃した男性は「機体が突然、ひっくり返り、真っ逆さまになった。火が出て爆発しそのまま海に垂直に落ちていった」と話した。また、テレビ朝日の報道によると、鹿児島県警にも島民から「オスプレイが左エンジンから火を噴いて空港近くの海岸に墜落した」と通報があった。このため、パイロットは機体をまともに制御することができなかった状態だったとみられ、防衛省の発表とは裏腹に墜落と言わざるを得ない。米軍の準機関紙、星条旗新聞も「crash」や「go down」との表現を用いて、日本語で言えば「墜落」と報じている。

防衛省によると、米空軍横田基地には6機のCV22が配備されている。また、現時点において、海上自衛隊からは掃海艇たかしま(佐世保)、みやじま(呉)、護衛艦のしろ(佐世保)、みくま(佐世保)、とね(呉)、掃海母艦うらが(横須賀)、ミサイル艇しらたか(佐世保)がそれぞれ港を出発し、捜索救難活動に当たっている。

(関連記事)

米海兵隊員5人が死亡した2022年のオスプレイ墜落事故、原因はクラッチの欠陥だった

V22オスプレイの米生産工場、ボーイングが2025年にも閉鎖の可能性

ノルウェーでの4人死亡の米海兵隊オスプレイ墜落、パイロットの操縦ミスが原因

© 高橋浩祐