津久見OB、聖地で取り戻した「あの夏」 コロナ禍3年越し…交流試合も【大分県】

甲子園で藤丸監督からノックを受ける津久見OBの元球児たち
3年ぶりに集まって「あの夏」の夢を甲子園でかなえた津久見OBの選手たち

 高校野球の2020年県独自大会を制した津久見OBが30日、兵庫県内で交流試合に臨み、新型コロナウイルス禍で不完全燃焼に終わった思いを白球に込めた。夏の全国選手権中止を経験した世代がクラウドファンディングで企画した「あの夏を取り戻せプロジェクト」の一環。かなわなかった甲子園球場の土も3年越しで踏みしめた。

 甲子園では29日に開会式があり、各校5分間のシートノックを実施。津久見は藤丸崇監督(48)が駆け付けた。「苦しかった当時の思いや感情がようやくこれで報われ、本当の意味であの夏を取り戻せたように感じる」と感慨に浸った。

 30日は三木総合防災公園野球場で名桜(秋田)OBと対戦した。ほとんど野球から離れていた選手16人にマネジャー2人で臨んだ。8点を追う七回に4点を返す意地を見せ、直後の守りの途中で90分の時間切れとなった。

 チーム初安打を放ち、この日2度登板した会社員柳生翔真さん(21)=津久見市=は「高校3年の4~6月は全体練習もできず、夜はバットを握らないと眠れなかった。あれほどの経験をしたから今後もどんな壁だって乗り越えられると改めて感じた」と振り返った。

 愛知工業大で野球を続ける渡辺泰宜さん(21)も「目標を失った中、大分で1番となり、踏ん切りはついたと思っていた。でも実際に甲子園に立つと鳥肌が立った」と感動した様子。当時のエース安部誠也さん(21)=環太平洋大=も「来られなかったOBを含め、当時の3年生28人全員がもう一度つながれて、新たな一歩を踏み出せた」。

 戦後初めて中止となった甲子園大会の影響で、ぽっかりと空いていた心の隙間がようやく埋まった。

 登録メンバーは次の通り。(敬称略)

 ▽選手 安部誠也、伊藤春道、岡部優四朗、河津翔大、穴見尚己、篠田響、首藤慎之介、諸石滉凱、新田悠起、清家綺斗、斉藤健祐、川頭武蔵、大嶋陸、渡辺泰宜、野田啓成、柳生翔真、薬師寺琳久▽マネジャー 神田友夢、谷口こころ

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