天敵から走って逃げ昼夜問わず活動するカタツムリ、京都大学などが発見

京都大学・大学院、および北海道札幌啓成高等学校の教諭と同校科学部の生徒6名の研究グループは、天敵を模した外部からの刺激に応じて、エゾマイマイが歩行速度を1.2~1.3倍ほど上昇させることを明らかにした。「走って逃げる」のは、初めての報告とみられる。

北海道にほぼ固有の陸産貝類(カタツムリ)であるエゾマイマイは、殻を振り回して天敵のオサムシ類を撃退するという珍しい行動が知られている。今回、エゾマイマイとヒメマイマイの近縁二種を対象に、移動能力や探索性・活動性に着眼した実験を行った。

その結果、天敵からの攻撃を模した外部刺激により、エゾマイマイは移動速度を1.2~1.3倍ほど上昇させた。速度は平均1.05 mm/秒ほどから1.27~1.35 mm/秒への上昇となる。これにより、エゾマイマイは捕食者に襲われると殻を振り回すと同時に「走って逃げる」という珍しい行動が示された。

また、エゾマイマイは昼夜問わず活発に活動する「周日行性」の日周性を持つことが分かった。カタツムリは一般に夜行性とされ、いつでも活発に活動するような種は知られていない。一方、ヒメマイマイは、外部刺激に殻に引っ込んでやり過ごし、日周性についても夜間のみ活動する普通の夜行性の行動だった。近縁種間でも複数の行動形質に極端な違いの存在が示された。

今回の研究結果は、対捕食者行動と探索性、活動性のそれぞれに明確な種間差があり、個性間の明確な相関が示され、エゾマイマイとヒメマイマイの種間にまたがる行動シンドローム※の存在を示唆しているとしている。

※複数のカテゴリーに跨がる動物の個性が相関するという現象

論文情報:

【Behaviour】The divergence of mobility and activity associated with anti-predator adaptations in land snails

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