選挙期間中のネット広告問題で再選挙の江東区長選挙!地域で最も支持が高い政党は?投票先を選ぶポイントは?(データアナリスト 渡邊秀成)

選挙期間中のネット広告問題により区長が辞職したことにより、江東区長選挙が2023年12月10日に投開票されます。

近年人々のインターネット接続時間が伸びてきており、そのため当選を目標とする候補者は、さまざまな手段を用いて有権者との接触回数を増やそうとしています。

総務省調査から人々の主なメディアの時間帯別行為者率をグラフ化したものが下記になります。

メディア別利用率のグラフ(筆者作成)

全体的にインターネット接続時間が増えてきており、年代別にみても接続時間が増えていることが各種資料から確認できます。

これらのことを考えると、政党、選挙候補者がネット広告に力を入れるのもわかります。

実際、選挙後に公開される資料や公的機関が発行する調査報告書を読み込んでいくと、政党、候補者がGoogle、Facebook等に宣伝広告費用を支払っていることを確認できます。

一例として、グーグル広告で数万から百万円台、YouTube広告で数十万円、情報を届ける層を絞った広告で十万円台〜数千万円台の金額を政党等が直接Google等、あるいは選挙コンサルティング会社等に支払っていることを確認できます。インターネット上の広告は閲覧対象者をある程度絞ることができるので、政党、候補者にとっては利用しやすいものなのかもしれません。

ただ現在の公職選挙法は選挙運動期間中のウェブ広告にはさまざまな制約があります。

【参考】総務省サイトより:インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁等

法令遵守の徹底や組織内統制がとれていないことにより、違反行為をしてしまう恐れがあります。手軽に広告等を出稿できるのがSNS、ウェブ広告のメリットですが、それが逆に法令違反につながる可能性が高まりますので、注意が必要になります。

注意が必要となるウェブ広告問題で区長が辞職したため、12月10日に区長選挙が実施されます。

人口が増加している地域……江東区の特徴とは?

まず最初に東京都江東区の位置、人口等を確認します。東京都江東区は地図で示すと下記の位置となります。

江東区の位置(筆者作成)

東京湾に面しており江戸川区、墨田区、中央区に囲まれた場所であり、2023年11月1日時点での住民基本台帳による人口は

男性 264,634人
女性 274,376人
計 539,010人

となっており、少しずつ人口が増加している地域となっています。

そして2020年国勢調査による人口が多い地域から少ない地域を色分け地図に表現したものが下記になります。

江東区の人口分布図(筆者作成)

区長選投票率は50%未満!有権者の投票行動の傾向は?

この江東区の有権者の投票行動はどのようなものなのかについて観察します。知事選挙投票率を東京都区内で比較をします。江東区は23区の中で都知事選では投票率が高い地域なのか低い地域なのかをみてみます。グラフで表現したものが下記になります。

知事選 23区投票率比較(筆者作成)

江東区の投票率は全体と比較をすると23区内では上位に位置します。

そのような江東区ですが区長選挙の投票率で見てみますと、全体的に投票率は低下傾向で50%を切る状態が続いています。

江東区長選挙の投票率推移(筆者作成)

そして男性より女性のほうが投票率が高い傾向にあることがわかります。

投票率が50%台ですと当選した候補者が住民の代表と言えるのか?疑問を感じる数字であります。

区内の政党支持率ナンバーワンは?投票先を選ぶポイントとは?

さらに江東区有権者はどのような政党に投票する傾向が高いのかについても、観察します。江東区議会議員選挙での政党別得票数を選挙ごとにグラフ化したものが下記になります。

政党別得票率(筆者作成)

選挙ごとに投票率に配慮する必要はありますが全体的にみると自由民主党の得票率が多く、続いて無所属が続きます。組織票が強いと言われる日本共産党、公明党の得票率が下がる傾向にあることがわかります。

このような有権者行動を観察することができる江東区ですが、選挙になると誰に投票して良いのかわからないので、投票を棄権する人も多いと思います。

そのような場合には候補者を支援している政党について調べてみると、自分が投票する候補者を選ぶヒントがあるかもしれません。

候補者を支援する政党がこれまで選挙で約束してきたことを実施していると思えばその候補者へ投票する。そうでないと思えば別の候補者へ投票するといったシンプルな方法もあります。

選挙報道等は政党の思惑、情勢報道、選挙戦略等の話題が多くなりがちです。しかし有権者にとっては自分の生活がどうなるかの方が大切なので、各候補者がどのようなことを発言してきたのか?SNS等での発言を遡って読み、発言していることと実際に行なっていることが一致しているかどうか見ると、誰に投票すれば良いのか?の判断材料の一つとなります。

大切なのは候補者、政党が発信した情報と公的機関が公表した情報のみを読むことです。

また選挙運動期間中各候補者が「最年少候補者である」、「【○○○○】改革」、自身の強みや時流に乗った言葉で演説等をすることがあると思いますが、それらを見聞きしたときに、これまでの実績はどうなのか?どの部分をどう改革するのか?改革される側はどうなるのか?チラッと考えるだけでも誰に投票すれば良いのかのヒントになると思います。

当選を重ねている議員、首長の方と話をしていると、選挙での得票数が議会内での力関係に影響することもあると言います。選挙で当選してから、その候補者が活動しやすくなるか、そうでないか?にも有権者の投票行動は影響してきます。

選挙結果後が本番である候補者の活動を(しやすくする/しやすくしない)ためにも、

過去の言動と実際の行動が一致しているのか?を各種資料等でチェックをして投票する候補者を決めてみてはいかがでしょうか。

今回は選挙が迫る江東区有権者の投票行動について観察をしてみました。

追記:

江東区選挙管理委員会の投開票データ、江東区区民部区民課区民係が公開する住民基本台帳による世帯と人口データはPDF形式のものがありました。これらのデータがExcel等の電子媒体で存在しているのであれば、Excel、CSV形式等で公開していただきたいと思います。

データ形式は総務省の統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法に従った形式でデータ公開がなされると、多くの人がデータの利活用がしやすくなります。

12月10日投票の江東区長選挙の立候補者一覧はコチラ

あなたの考えに近い候補者がスマホやPCで5分で分かる、江東区長選挙投票マッチングはコチラ

© 選挙ドットコム株式会社