日米の子孫、涙の初対面「奇跡」「言葉にならないほど感激」 100年前に沖縄からメキシコに移民 米国で過ごす孫たちがルーツ探し名護市訪ねる

 沖縄県名護市数久田区から1904年にメキシコに移民した故玉城亀八さんの孫2人とひ孫1人の計3人が11月27日、ルーツを求めて同区を訪問した。同区公民館で、亀八さんに兄がいて、そのひ孫が同区に健在であることが分かり、涙の初対面を果たした。(玉城学通信員)

 3人は、いずれもカリフォルニア在住で、亀八さんの孫のカレン・カラツ・ケネディさん(71)とウイン・カラツさん(66)姉弟、ひ孫に当たるウインさんの娘のカレン・キラさん(21)。

 姉弟の母の玉城メリーさんが4年前に102歳で他界した際、キラさんが「もっと祖母からルーツの沖縄のことを聞けば良かった」と思ったのをきっかけに、米ハワイ沖縄系図研究会に問い合わせ、県系移民の渡航記録などが検索できるデータベースを調べた。

 亀八さんが数久田出身であることなどが分かり、ルーツ探しのため来沖。亀八さんの足跡を求めてあちこち探し回った末、公民館にたどり着いた。

 公民館で、亀八さんは玉城許光さんの5男で、3男の乙吉さんのひ孫、玉城茂春さん(68)が数久田に住んでいることが分かった。3人は翌28日、茂春さんら乙吉さんの子孫と市内のすし屋で対面し、先祖の話に花を咲かせた。

 ケネディさんは、今回来沖できなかった末っ子の写真をスマホで見せ「茂春は弟のポールとそっくり。とてもエキサイティングだ」と感激した様子。

 ウインさんは「言葉にならないほど感激している。沖縄に初めて来てこんなに多くの子孫と会えるとは奇跡だ」と目頭を熱くした。

 キラさんは「これほど大ごとになるとは思っていなかった。いまだに実感が湧かない」と語った。

 茂春さんは家系図を見せ「これは祖父の乙元が作成した。あなたの祖父はどこに書かれているかな」とウインさんに亀八さんを指させてご満悦だった。

 「亀八さんの子孫がいつかルーツ探しに数久田に来るかも知れないと祖父に話したことがある」と茂春さん。自身の予感的中に驚いた様子だった。

 ケネディさんは「茂春はいつカリフォルニアに来るの? カリフォルニアに来たら今日と同じようにもてなすよ。だってルーツはウチナンチュだから」と満面の笑みを浮かべていた。

 読谷村在住の通訳、コリン義久瀬分さんが同行して3人の通訳を務めた。

玉城茂春さん(中央)の祖父が作成した家系図で、亀八さんの名前を指さすウイン・カラツさん(左)と笑顔のカレン・カラツ・ケネディさん=11月28日、名護市内のすし屋
メキシコに移民した故玉城亀八さんの米国の子孫と名護市数久田の子孫が一堂に会した食事会。前列右がルーツ探しのきっかけをつくったカレン・キラさん

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